2024.11.29トレンド・ニュース
前回は、医療機関におけるキャッシュレス決済の普及が遅れている現状と、その理由について考察しました。特に高齢患者を対象としたクリニックではキャッシュレス決済の必要性が小さかったこと、クリニック経営者にとっていくつかのリスク要因があることを説明しました。
では、クリニックにとってのリスク要因とは一体どのようなものでしょうか。今回はキャッシュレス決済のメリットとデメリットについて考えていきたいと思います。
キャッシュレス決済を導入する場合、導入する端末の種類にもよりますが、目安として5万〜10万円程度の初期費用がかかります。
ランニングコストとして、決済事業者に対し、決済金額の3%前後の手数料を支払う必要があります。
キャッシュレス決済では、現金での決済とは異なり、決済事業者を通して売上金が入金されるため、実際の支払いから入金まで、1~2ヶ月程度の時間がかかります。資金繰りが安定していないクリニックにとっては、キャッシュレス決済のタイムラグはデメリットになるでしょう。
いち早くキャッシュレス決済システムを取り入れることで、競合のクリニックと差別化することができます。
キャッシュレス決済を導入することで、現金の受け渡しにかかる時間を短縮できます。
JCBの実験によると、現金では平均28秒かかる支払いが、非接触型キャッシュレス決済では平均8秒と、1/3以下の時間で支払いできることが実証されています。
出典: JCB 決済速度に関する実証実験結果
https://www.global.jcb/ja/press/2019/201908280001_others.html
QRコードを読み取ったりかざしたりするだけのキャッシュレス決済なら、会計時に非接触の対応が可能になり、感染症対策にもつながります。
キャッシュレス決済においては、会計業務が自動化されるため、釣銭の間違いなどの人為的ミスがなくなります。レジ締めの作業など、事務スタッフの作業負担も軽減されます。また患者側にとっても、現金を用意する必要がなくなります。
医療は他と比べて「結局いくらかかるのか、わかりにくい」サービスです。保険診療であったり、そうでなかったりと、患者の多くが支払いに関する不安を抱えて窓口に向かいます。キャッシュレス決済を導入することにより、この問題は解決されるでしょう。
患者側の利便性はもちろん、クリニックにとってもメリットが大きいキャッシュレス決済。医療施設における普及率がそれほど高くない今だからこそ、早期導入のメリットは大きいと言えるでしょう。