2024.11.19トレンド・ニュース
近年、日本においてもキャッシュレス決済の普及率が高まり、大型店舗やチェーン店だけでなく、小さな商店まで多くの店舗で導入されるようになってきています。一方で、クリニックにおいてはキャッシュレス決済がまだまだ浸透していないのが現状です。
では、未だに現金払いが主流の病院やクリニックが多いのはなぜでしょうか。
厚生労働省が2021年に行った実態調査によると、デビットカードを含むクレジットカードを導入している医療機関は57.4%に達しており、半数以上の窓口でカードによる支払いが可能なことがわかりました。
一方で、QRコード決済を導入している医療機関は3.7%、電子マネー決済は4.7%にとどまります。
出典:厚生労働省 外国人患者の受入に係る実態調査
2021年に経済産業省が発表したキャッシュレス決済 実態調査アンケート集計結果では、全業種におけるクレジットカード決済の導入率が55%、QRコード決済が55%、電子マネー決済が25%でした。
出典:経済産業省 キャッシュレス決済実態調査
https://www.meti.go.jp/press/2021/06/20210618002/20210618002-1.pdf
以上の調査を見ても、クリニックのキャッシュレス決済の普及は遅れていると言えます。
クリニックのキャッシュレス普及率が低い理由として、患者からの要望が少ないことが挙げられます。専門科にもよりますが、受診する患者の割合として高齢者が多いため、クリニック側がニーズを感じなかったのです。
病院では現金で支払う、という固定概念が強いことも、キャッシュレス決済導入へのブレーキとなっています。「他のクリニックも導入していないから」という考えが、経営者の判断を鈍らせてきました。
現金は支払ったその場で入金されますが、キャッシュレス決済の場合は一定期間のタイムラグが生じます。入金サイクルが遅れることをリスクと感じる経営者も多く、導入の妨げとなっています。
また、キャッシュレス決済の導入にかかるコストや、決済手数料など、金銭的なデメリットを嫌うクリニック経営者も多く、普及の支障となってきました。
今回は、クリニックなどの医療機関においてキャッシュレス決済の普及が遅れている現状について、考えてみました。特に高齢の患者が多いクリニックでは、キャッシュレス決済導入の必要性が小さかったことが、浸透が遅れた最大の原因と言えるかもしれません。
しかしながら昨今では、高齢者でもスマホを使いこなす方が多く、七割以上のシニア層がキャッシュレス決済を利用しているとのデータもあります。患者の利便性を高めるためにも、全てのクリニックはキャッシュレス決済の早期導入を前向きに検討するべきだと言えます。
次回は、クリニックにおけるキャッシュレス決済導入のメリットやデメリットについて、説明していきます。