2025.01.14クリニック開業の心得
地域社会との良好な関係を築くために、クリニック開業時のあいさつ回りは非常に重要です。あいさつを通じてお互いの顔を見知っておくことで、次のようなメリットが得られます。
◆ 医療機関同士の情報共有と連携強化につながる
◆ 地域住民へのクリニックの認知・集患を期待できる
◆ 緊急時にスムーズな対応ができる
あいさつには院長が自ら行かれるのが望ましいでしょう。地域へのあいさつはスタッフに任せる方もいらっしゃいますが、地域密着や近隣からの集患を目指すのであれば、はじめが肝心です。
基本的にはこちらから訪問し、対面であいさつするようにしましょう。訪問前に電話などでアポをとっておくと安心です。遠方の関係者であれば、手紙やメールで開業を報告するのもいいでしょう。
地域にあるクリニックや病院には必ずあいさつに行きましょう。開業すれば、検診や研修会などで、近隣の医師達と顔を合わせることもあります。
同じ専門科のクリニックの場合、行く必要があるかどうかは意見が分かれますが、同じ地域医療を担う医師同士、良好な関係を保つためにも、あいさつはしておくべきでしょう。
クリニックや病院には、開業の候補地が決定したタイミングなど、早い段階であいさつしておくといいでしょう。そうすることで、すでにクリニックを開業している先輩から、情報を得られることもあります。
調剤薬局は地域医療を担うパートナーです。薬剤師と緊密に連携をとることで、処方ミスを防いだり、患者へのフォローアップも期待できます。また、訪問することで各薬局の特長を知ることもできます。
各自治体や近隣の保健所などの行政機関にもあいさつしておくといいでしょう。自治体主導のイベントやプロジェクトに参加する機会ができれば、地域社会での信頼を得ることにもつながります。
地域の商工会議所や福祉団体、商店街、PTA、老人会など、今後の医療活動に関係する可能性のある地域の団体には、積極的にあいさつしておきましょう。開業を多くの方に認知してもらうためにも必要です。
業者が出入りするなど準備が進むと、近隣の住民達がクリニックの存在に気付き始めますので、その頃を目安にあいさつしておくといいでしょう。
往診診療の予定がある場合は、各往診先にもあいさつをしておきましょう。お互いに顔を知っておくことで、開業後のやりとりがスムーズになるでしょう。
医師会への入会を予定されている場合は、まず入会の意向を伝え、あいさつに行きましょう。地方によってマイナールールがあるので、事前に近隣の開業医から情報収集されることをおすすめします。
以前の勤務先や関係者には、手紙やメールでもいいのであいさつを行い、開業したことを報告しましょう。
事前に手土産を用意しておきましょう。日持ちのする焼き菓子やタオルなどが喜ばれます。金額的な相場は1,000円程度と言われています。それ以上に高価な品物を渡してしまうと、お返しなど逆に気を遣わせてしまうこともあります。
クリニックの電話番号が決まっている場合は、名刺を作成して持参しましょう。名刺はクリニックの顔になりますので、ロゴやテーマカラーを用いたデザインがいいでしょう。名刺のデザインには時間がかかることもありますので、印刷期間も含め、早めに準備をしておきましょう。
地域の医療機関としての役割を担っていくためには、まず相互関係の構築が大切です。「あいさつ回りは気が重い」と後回しにせず、計画的に行いましょう。