2024.09.04トレンド・ニュース
気候変動による温暖化で、近年の夏は体温を上回るほどの過酷な暑さが続いています。気温の上昇に伴い、熱中症のリスクも年々高まっています。特に注意したいのが、熱中症患者のおよそ半数を占める65歳以上の高齢者です。また、体温の調節機能が十分に発達していない小さなお子さんにも配慮が必要です。
患者にとっても、猛暑のなかの通院はなるべく避けたいもの。こういったニーズに対し、クリニックでできる対応としておすすめしたいのが、自宅から利用できるオンライン診療です。
参考資料:
オンライン診療は、患者と医師が同じ場所にいなくても、遠隔で相談や診察を行う方法です。患者側はインターネットを通じて、医師に症状や健康に関する情報をリアルタイムで提供し、医師はそれをもとに適切な診断や治療を行います。
ただし令和5年8月1日以降、電話のみの診療での処方箋発行はできなくなりましたので、注意が必要です。
新型コロナウイルス感染症の流行時には、特例的に、電話や情報通信機器を用いた診療により診断や処方が可能とされました。しかし、感染症法上の位置づけの変更に伴い、電話や情報通信機器を用いた診療等に係る特例は、令和5年7月31日をもって終了となっています。
現在、処方箋の発行には、リアルタイムの視覚および聴覚情報を用いた、映像によるオンライン診療が必須ですので、ご注意ください。
酷暑のなかの通院には熱中症のリスクを伴います。特に高齢者や持病のある方は体温調節機能が弱まっている場合があり、より警戒が必要です。熱中症が重症化すれば、命を落とす可能性もあります。そこで熱中症対策として注目が高まっているのが、オンライン診療です。
患者にとっては、通院の手間がかからず、自宅の涼しい室内で医師の診察が受けられるという大きなメリットがあります。近年は特に、夏の日差しが強い時期に、オンライン診療での受診者数が急増しています。通院の付添の手間も省けるため、ご家族の負担も軽減できるでしょう。
熱中症予防策として効果的なのはもちろん。大雨や雪などの天候不良時、交通機関が不通の際にも、影響を受けることなく受診できます。
また、気象病など気候によって悪化する病気の方にとっても、体調への影響を抑えることができるというメリットがあります。
持病があったり、身体の不自由な患者にとっては、通院の負担がなくなることは大きなメリットです。クリニック側も、本来であれば来院が難しい患者に医療サービスを提供することができます。
患者が新規に医療機関を選ぶ際、交通の利便性を基準にすることが多いとされています。オンライン診療が可能なクリニックであれば、地理的な制約を受けることが減り、強みになるでしょう。
高齢者など一人で通院できない患者のために、家族などが付き添う手間も、オンライン診療なら必要ありません。また、小さなお子さまを連れての通院が困難な場合でも、気軽に受診していただけます。
待合室で待機する必要がなく、他の患者と接触する機会がないため、新型コロナウイルスやインフルエンザなどの感染リスクを抑えることができます。
オンラインでの診察では、触診や、細かい部分の視診ができません。さらに尿や血液検査、レントゲン撮影などの各種検査も行えず、画面越しの患者の様子から状態を判断しなければなりません。このため、正確な診断をすることが難しい場合があります。
オンライン診療はスマホやパソコンを用いて行われます。インターネットの設定はもちろん、カメラやモニターとの接続、使用するソフトのインストールも必要なため、高齢者にとってはハードルが高いとされています。
また、通信状態が不安定であった場合など、環境によって正常なやりとりができなくなることもあります。
オンライン診療は、特に高齢者にとっては受診までのハードルが高く、まだまだ課題が多いかもしれません。しかし、熱中症対策という一面も含めて、多くのメリットがある点は見逃せません。
クリニックにとっても、診療圏にかかわらず広く患者を受け入れることができるなどの利点があります。この機会にぜひ、オンライン診療の導入を検討されてはいかがでしょうか。