2024.08.07クリニック開業の心得
良い立地にクリニックがあるのに、なかなか患者が来ないという場合、もしかしたら駐車場に問題があるのかもしれません。意外に思われるかもしれませんが、運転に慣れない患者や高齢者にとって、駐車場の使いやすさは、クリニック選びの非常に重要なポイントになりえます。
駐車場の必要性については、地域によって異なるケースもあります。ここでは、駐車場を設置する場合に抑えておくべきポイントをご紹介します。
電車やバス路線が発達している都市部にあり、患者が公共交通機関を使用して来院するクリニックの場合は、駐車場を設置しなくても問題はありません。
一方、車がないと移動するのに不便な地域では、駐車場がないクリニックは選択肢から外されてしまいます。たとえ駅近くの立地だとしても、普段から車で移動する方には、電車を利用する習慣がありません。適正な駐車場スペースを設け、利用しやすい工夫をすることで、多くの来院機会を見込むことができます。
最近では検索サイトを使って受診するクリニックを決める患者も少なくありません。事前に必要な情報を得て、クリニックを検討しています。遠方より車で来院される方であれば、当然、敷地内に駐車場があるクリニックを選択されるでしょう。
小さいお子さんや高齢の患者の場合、家族が車で一緒に来院し、付き添うことができるため、クリニックと患者双方にとっての安心に繋がります。
感染症や院内混雑の回避・対策としても、車内での待機はとても効果的です。
インターネットで順番が取れるシステムを導入されているクリニックでは、車内で待つ患者を、アプリ等のシステムを介して直接呼出すことができるため、待合室で他の患者と接触する機会は格段に減少するでしょう。
専用駐車場を構える場合、土地の購入や初期工事に大きなコストがかかります。また、トラブル回避のために監視カメラを設置するなど、セキュリティのための設備投資も必要になるでしょう。
多くのクリニックでは、駐車場内での事故やトラブルには関与しないスタンスを、あらかじめ明示しています。とはいえ、患者が怪我をされた場合など、クリニックでの対応を迫られる場面もあります。「関与しない」からといって無下にすると、悪いクチコミに繋がることもありますので、注意が必要です。
院長を含め、全てのスタッフが臨機応変に対応できるよう、あらかじめ意識を共有しておくといいでしょう。
駐車場は、患者が来院して最初に目にする場所でもありますので、メンテナンスが行き届いていないと、クリニックの第一印象が悪くなります。毎日の清掃は欠かせないため、スタッフの仕事が増えるデメリットがあります。また、雪が降る地域では雪かきの手間もかかります。
駐車場の必要性には地域差があります。車移動がマストな地域では、駐車場があることは必須条件になりますのので、その土地柄にあった使いやすい駐車場作りをしましょう。
都市圏のクリニックであれば、コストをかけて専用駐車場を設置することは少ないかもしれません。ただし、医療施設は様々な状況の患者が利用しますので、最低数の駐車スペースを用意する、近隣のコインパーキングの場所を確認しておくなど、患者のニーズに応えられるよう準備しておきましょう。