2024.09.14成功するクリニック経営
特に女性の医療スタッフが多いクリニックでは、就業時の身だしなみに関する認識の差が、スタッフ間の隠れた問題になることがあります。「スタッフの身だしなみについては個人に任せる」という考えのクリニックもありますが、患者が安心して受診できる環境を整え、不要なトラブルを防止するためにも、新しいスタッフを採用する際には、最低限の指標を示しておくことが大切です。
一般事務の場合、主にクライアントとのやり取りや、パソコンを使用した書類作成といった仕事が主な業務になります。
それに対し、医療事務の場合は、基本的に体調に問題を抱えた患者を相手に仕事をします。医療行為を行うわけではありませんが、清潔感のある身だしなみは必要不可欠です。また、老若男女問わず患者が訪れるため、奇抜な髪型やネイル・メイクなどで「このクリニック大丈夫かな」と思われてしまわないよう、万人に安心感を与える身だしなみを心がけましょう。
先述した様に、医療事務スタッフには清潔感が必要不可欠です。髪の毛が長い方はひとつにまとめてもらいましょう。まとめ髪には、大きなクリップなどの留め具ではなく、飾りの少ないシンプルなヘアゴムを使用するなど、華美にならないよう配慮することも忘れずに。長めの前髪は、ピンなどを使用して目にかからないようにします。
また、強いパーマは人によっては不潔に感じてしまうので、注意が必要です。ゆるやかで一般的なパーマヘアであれば問題ないでしょう。
一般的に、金髪などの明るすぎる色や、赤や緑などの不自然な染色は禁止しているクリニックが多数です。ヘアカラートーンで表すと2~7のレベルで暗い髪色とされます。8以上で徐々に明るいトーンとなり、12~15は金髪に近いハイトーンとされています。クリニックによっては、具体的なカラートーンを示し、スタッフの髪色を制限しています。その場合、6~7程度までを許容していることが多いようです。
また、まめに手入れされていないカラーヘアも問題です。伸びかけの根本と毛先の色が異なる、いわゆる「プリン」といわれる状態は、不衛生でだらしない印象を与えかねませんので、早めに対処してもらいましょう。
医療事務スタッフは主に窓口で患者と接するため、手元を見られる機会が多くあります。爪が汚れていたり伸びすぎたりしていると、不衛生に見えますので注意が必要です。
ネイルを許可する場合は、ナチュラルで清潔感のあるデザイン限定で。派手な色、デコパーツやラメなどがはいったもの、長いデザインは避けるようにしましょう。
身だしなみの基本として、清潔感のあるメイクを心掛けてもらいましょう。派手なメイクや濃いメイク、青や緑などの不自然な色使いは、患者に不健康な印象を与えかねませんので、控えるようにしましょう。
ただし、「メイクをしない」いわゆるすっぴんも、社会人としてだらしなく見えてしまう場合があります。常識的なナチュラルメイクをするようにしましょう。
医療事務の経験者であれば、誰もが「前のクリニックではこうだった」「この程度ならOK」という独自の指標を持っています。これが自院の考え方と異なる場合、身だしなみを発端としたトラブルに発展しかねません。「経験者だから大丈夫だろう」と過信せず、経験者だからこそ、身だしなみの具体的な許容範囲を示しておくことが大切です。
女性の身だしなみの認識については個人差があります。それを前提に、採用時に明確な基準を説明し、スタッフ個々の了承を得ておきましょう。「言わなくてもわかるだろう」と思い込んでいると、後々トラブルになるかもしれません。事前に対策しておくとよいでしょう。