2023.10.21トレンド・ニュース
日本国内の高齢化が進む一方で、医療や介護の分野では人手不足問題も重なり、十分な対応ができない状況が続いています。また、新型コロナウイルス感染症が蔓延した際、高齢者や慢性疾患のある患者は重症・死亡化リスクが高いとされ、在宅医療の重要性に注目が集まりました。
高齢者や病気、障害を持つ人にとって定期的な診察や治療は必要不可欠です。高まるニーズに応えるために、往診や訪問診療の分野に参入するクリニックも増えてきています。
今回は、地域のクリニックが往診や訪問診療を行うメリットとデメリットについて、考えていきましょう。
どちらも自宅や施設などで医師に診察を受けることに変わりはありません。しかし往診と訪問診療は全く異なる医療サービスでもあります。
突発的な症状による要請を受け、医師がその都度訪問し、自宅や施設で診療を受けること
診療計画に基づき、自宅や施設にいながら、医師による定期的な診療を受けること
来院困難な高齢者やその家族にとって、自宅にいながら受けることのできる在宅医療は、命を繋ぐための最後の砦ともいえる、大変重要な役割を担っています。通院の負担を大幅に軽減するばかりでなく、院内感染のリスクも回避することができます。
訪問診療においては、患者を取り巻く医療と介護のスタッフが、患者の状態や課題を共有したうえで、計画的に診療にあたります。理学療法士やケアマネージャーなど、多くの専門家の意見が医師に集約されるため、的確な診断と治療を行いやすいというメリットがあります。
また、自宅や施設に訪問することにより、患者がリラックスしている状態で医療を提供することができます。日常の様子を直接見ることができる点も、医師にとってのメリットと言えます。
在宅医療は、付き添う家族にとっては非常に負担が大きいものです。
本人の意思で入院などを拒否し、自宅で定期的な訪問診療を受けている場合、家族にとっては、病状の急変に備えたり、投薬や医療機器の管理を行ったりと、緊張と隣り合わせの状況が続くことになります。
近年では高齢者の介護を高齢者が行う「老々介護」も問題になっています。患者本人より、その家族にとっての、在宅医療のデメリットは軽視できません。
往診を行う場合の医師側のデメリットとして、24時間対応が求められることによる負担増大が挙げられます。医師個人にかかる負担を軽減するため、多くの地域で、他の事業所との連携や、複数の医師による業務分担を行っています。
高齢化が進む日本において、在宅医療のニーズは今後もさらに増加し続けるでしょう。往診や訪問診療に対応できる医療機関が不足することは、通院が困難な患者にとっては、深刻な問題です。
医師が自宅や施設に訪問し医療サービスを提供することで、繋がる命があります。この機会に往診や訪問診療の導入を検討してみてはいかがでしょうか。