2023.06.15トレンド・ニュース
現在多くのクリニックでSNSが導入されています。スマホ一つで簡単に更新できるSNSは、非常に手軽でハードルが低く、集患目的やイメージアップなど、クリニックとしてのブランド価値向上の目的で利用されることもあれば、突然の休診や予防接種のご案内など、告知を目的として利用されることもあります。
しかし、SNSの導入にはリスクも伴います。なかでも最大のリスクは「炎上」と呼ばれる現象です。クリニックとしてSNSを始めるにあたり、その目的や目標を明確にするとともに、炎上のデメリットを把握し、対策をとる必要があります。
SNSにおける「炎上」とは、一部の悪質な(あるいは好意的ではない)ユーザーによって、誹謗中傷を含む批判的なコメントが殺到する状態を指します。不用意な発信など些細なきっかけで発生し、不特定多数の人達から、まるで火が勢いよく燃えるかのような攻撃にさらされます。
SNSを利用していなくても炎上は起こり得ます。受診した患者や地域住民とのトラブルがSNS上に公表され、それがきっかけで炎上し、大きな批判に晒されることもあります。原理はクレームと同じですが、一度火がついてしまうとコントロールがきかなくなる点はSNSの厄介なところでしょう。
一度炎上をしてしまうと、リカバリーには時間を要します。患者だけでなく地域住民の信頼を失うことも考えられますので、まずは正しく予防することが最も重要です
多くの場合、SNSに投稿する内容やタイミングに留意することで、炎上の発生源になることを防止できます。過去のあらゆる炎上例を学び、投稿前のチェックリストを作成しておくといいでしょう。複数人によるダブルチェックもマストです。
・投稿のタイミングは適切か
・投稿先のアカウントを間違えていないか
・画像やリンク先の選択ミスをしていないか
・誤字脱字はないか
・思想の話題には触れていないか
・情報の漏洩はないか
先述したように、SNSを利用していなくても炎上は起こり得ます。クリニックにおける不快な経験をSNSに投稿されることにより、炎上が発生する場合もあります。過去には、医師やスタッフの言動を撮影・録音され、拡散された例もあります。
医師も医療スタッフも、炎上のリスクを念頭に、患者に対し常に真摯な対応を心がけましょう。
どんなに気をつけていても炎上のリスクはゼロにはなりません。万が一に備え、炎上してしまった場合の対応策も考えておきましょう。
炎上被害を最小限に抑えるためには、早期発見と迅速な対応が求められます。批判の声が届いたら、すぐに投稿を削除しましょう。
削除しても、すでに第三者によって転載や保存をしてしまっている可能性があります。その場合は、自身にとって謝罪に値しない内容であっても、不特定多数の意見を真摯に受け止め、早急に誠心誠意の謝罪を行うことが重要です。その際、原因となった事象を明確にし、ユーザーからの批判が何に対して向けられているのかを、まずしっかりと把握しましょう。
謝罪が遅れたり、対応を間違えたりすると、収束に時間がかかりますので注意が必要です。
老若男女問わずスマホを利用し、その多くがSNSから手軽に情報を得る時代。炎上のデメリットもあるSNSですが、正しく使用すれば、クリニックと患者の双方にとって有益なツールです。
実際に多くのクリニックがSNSを導入し、集患に成功した事例も多くあります。炎上に至らぬよう最大限の注意を払いながら、SNSを活用していきましょう。