外国人の患者に対応するためにクリニックが準備すべきことは?

2023.05.17トレンド・ニュース

外国人の患者に対応するためにクリニックが準備すべきことは?

日本に住む外国人の割合は年々多くなってきています。法務省の出入国在留管理庁は、令和4年6月末の時点での在留外国人は296万1969人で、前年末に比べ20万1334人(7.3%)増加していると発表しています。

出入国在留管理庁 報道発表資料:https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/13_00028.html

在留外国人の増加に伴い、外国人の来院患者も増えていくことが考えられます。外国人患者に対応するためには、外国語を用いた問診や診療、治療の説明を行わなければなりません。

しかし実際には、スタッフ全員が外国語で対応できるクリニックはそう多くはないでしょう。では、急増する外国人患者に対応するために、クリニックはどのような準備をしておけばいいのでしょうか?具体的に考えていきましょう。

クリニック受付で新規外国人患者に対応するには

受付では通常、来院した患者に対し問診を行います。外国人にも読解できるよう、問診表に外国語の記載をしておきましょう。また、想定できる質問のリストを作成し、事前に外国語に訳しておくことも重要です。

ただし、問診や質問に対して答えを引き出しても、スタッフが正確にヒアリングできなかったり、患者が記載した内容を理解できなかったりすれば意味がありません。誤った内容を医師に伝えてしまう危険性もあります。患者の症状の詳細を正しく聞き出すために、事前にいくつかのパターンを考え、YES かNOで回答できるよう2択にしておくことや、指さしで分かるイラストなどを用意しておくといいでしょう。

想定できる質問例(英語の場合)

薬や食べ物のアレルギーはありますか?

Do you have any food or medication allergies?

保険証はお持ちですか?

Do you have an insurance card?

現在何かお薬は飲んでますか?

Are you currently taking medication?

 

診察室での対応は

診療の内容はクリニックの専門によっても異なりますが、患者の状態が問診表などで事前に分かっていれば、診察がスムーズに進むでしょう。

また、医師が行う診療内容を患者に説明するため、外国語表記やイラストを用いた案内を事前に作成しておくと、患者の理解が深まり不安も緩和されます。普段から医師を含めたスタッフ全員で話し合い、互いに連携をとりながら対応しておけるようにしておきましょう。

会計やお薬の処方で気を付けること

旅行で短期間来日している外国人患者の場合は、健康保険が適用されませんので、自費診療となる旨を事前に説明しておきましょう。外国では、医療費の未払いを防ぐために前払い形式を採用している病院も少なくありません。支払いを忘れて帰る患者がいないよう、注意が必要です。

日本で暮らしていて保険証を持っている外国人患者の場合、日本人患者への対応と同じですので、こちらもいくつかのパターンで事前に英語表記をしておくとスムーズでしょう。

処方箋に関しても同様です。院外処方の場合は、お薬を受け取れる薬局をいくつかピックアップし、地図等を用意して案内すると親切でしょう。

まとめ

診療そのものの内容は外国人も日本人も同じです。受付・診察・会計・処方箋の案内までの流れを想定し、外国語表記の案内を作成しておきましょう。

何の準備もないまま外国人の患者を迎えた場合、スタッフが慌ててしまったり、患者との間に誤解が生じたりと、医療過誤にも繋がりかねません。落ち着いて案内するためにも、外国人患者が来院することを想定し、クリニック全体で意識を高めておくことが必要です。カンファレンスで常に議題にし、準備とロールプレイングを徹底しましょう。

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