大地震など災害に強いクリニックになるために必要なこととは?

2023.07.20クリニック開業の心得

大地震など災害に強いクリニックになるために必要なこととは?

日本は島国であるゆえに、多くの災害の歴史があります。記憶に新しい東日本大震災や、熊本や北海道でも大規模地震の発生で多くの方が被災者となりました。医療機関が被害を受けたケースも少なくありません。また、地震だけでなく台風による被害、噴火や豪雪など、いつの時代も災害と向き合い、防災を徹底することで乗り越えています。

クリニックが被災してしまった場合、スタッフの身の安全だけでなく、病気や怪我で来院、または入院している患者の安全も守らなければなりません。患者の容態によっては、命に直接的に関わるケースも考えられます。

そのため、一般的な施設と比べても、災害に対する事前の備えが非常に重要となります。ここではクリニックにとって必要な防災とはなにかを考えていきましょう。

あらかじめ備えておくべき物品

災害が起こることを想定して、クリニックで最低限の備蓄を事前に用意しておくことが必要になります。厚生労働省は3日分程度の備蓄を推奨してますが、医療機関によっては一週間分備蓄しているところもあります。

また万一の場合のエネルギー源や通信手段を確保しておくことも必要です。

最低限必要な備蓄リスト

・飲料水(1人あたりの目安:1日3リットル)や生活用水。
・非常用の食料・日用生活品
・医薬品や医療用具・その他各クリニックに必要な医療機器
・非常用電源や自家発電システムなどエネルギー供給源
・通信手段の確保 (衛星電話など)
・貯水槽の設置 (人工透析を行う施設の場合)

施設における対策

開業前であれば、クリニックの立地条件を考える際、地域のハザードマップなどを利用して、あらかじめ災害の危険性を回避できる土地選びを行っておくことが大切です。すでに開業している場合は、災害が予見された際の避難の手順を、スタッフ全員で確認し共有しておきましょう。

地震に関しては、施設の耐震診断や耐震化対策を実施しておくことで、被害を最小限に抑えることが可能です。

また、クリニックの図面などを用いて避難ルートの作成や、医療設備の落下防止対策をしておきましょう。窓ガラスに飛散防止フィルムを張ることも忘れずに。

薬品や劇物の管理体制を整える

災害時には、普段クリニックで医薬品として使用している毒物や劇物が、飛散または漏洩、あるいは混合することにより、近隣住民にとっての脅威になる可能性があります。万が一に備え、普段から危険物の管理体制を徹底することが求められます。毒物や劇物と同様、放射性同位元素に関しても管理状況を確認しておきましょう。

非常時に素早く対応できるよう、スタッフ全員が防災の認識を持ち、毒物や劇物に対する意識を高めておくことが重要です。

患者・入院患者の安全確保について

来院している患者に関しては、想定できるシチュエーション毎に避難させるようにしましょう。また、病床があり入院している患者がいる場合は、優先順位が高い患者から対応しましょう。重傷者の把握や点滴・人工呼吸器等の状況把握、移送が想定されるケースでは移送手段や移送先を事前に確認しておく必要があります。

まとめ

日本ではここ十数年で歴史に残る大きな災害が数多く発生しています。そのため人々の防災意識は比較的高く、小さな商店街など、地域の住民全体で防災対策を行っているところも少なくありません。

クリニックでも防災意識を高く持ち、独自の対策を徹底すると共に、地域住民と情報を共有し協力していきましょう。非常時に地域の役に立てるクリニックであるためには、常日頃からの体制づくりが重要です。

 

 

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