クリニックが紹介状を発行する際に知っておくべきこと

2023.09.17クリニック開業の心得

クリニックが紹介状を発行する際に知っておくべきこと

紹介状は正式には「診療情報提供書」といい、今よりさらに専門的な検査や治療を必要としている患者に、他院を紹介するツールになります。患者の受診歴や治療の情報、検査結果などが記載された資料が入っており、単なる医師から医師への「手紙」ではなく、かかりつけ医と他の医療機関の連携を図るうえで非常に重要な情報源になります。

勤務医の場合、紹介状を受け取る立場になることが多いかと思いますが、クリニックを開業すると、紹介状を発行する機会が増えます。この記事では、点数や必要事項、患者からの依頼による紹介状の発行、紹介先の医師が分かりやすい書き方など、紹介状について具体的に考えていきます。

医師が判断し紹介状を発行する場合

診療情報提供料(I)250点を算定することができます。「患者1人につき月1回に限り算定する」となってますが、「紹介先保険医療機関ごとに」算定することができるので、紹介先医療機関の建物ごとに月1回の算定が可能になります。つまり同じ患者に二件の医療機関を紹介した場合、同じ月内でも250点ずつ別々に算定できますので、合計500点となります。

患者側から紹介状の発行を依頼された場合

治療方法の選択等に関して、診療を担う医師以外の医師による助言を求めるため、患者またはその家族からの申し出で、治療計画や検査結果等必要な情報を添付して紹介した場合には、セカンドオピニオンとして「診療情報提供料(II)」500点が暦月1回のみ算定できます。

紹介状に記載が必要な12項目

医療機関に宛てた紹介状では、必ず記載しなくてはならない項目が法令で定められています。

①紹介先の医療機関情報
②紹介年月日
③紹介元の医療機関情報
④紹介元の医師名
⑤患者の基本情報
⑥傷病名
⑦紹介目的
⑧既往歴および家族歴
⑨症状経過および検査結果
⑩治療経過
⑪現在の処方
⑫備考

紹介状の記入や準備は時間がかかるし苦手という方も少なくないかもしれませんが、開業すれば紹介状を発行する機会も増えるかと思いますので、事前に自院専用のテンプレートを作成しておくと便利でしょう。

また、厚生労働省による紹介状フォーマットもあるので、参考にして下さい。

厚生労働省【 診療情報提供書の書式(別紙様式11)】

https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken15/dl/h24_02-07-30.pdf

 

紹介状作成のポイント

せっかく作成した紹介状に不備があったり、相手側に正確な情報が伝わらなかったりすると、問い合わせの手間が増え、両者の業務に支障をきたす恐れが出てきます。紹介状の内容が端的に伝わるよう、以下のポイントに留意しましょう。

ポイント① 手書きは避ける

達筆すぎる手書きや略語、崩されたドイツ語など、ご自身が使い慣れたものであっても、他院や他科のすべての医師が理解できるわけではありません。可能であればパソコンで作成したものを使用して下さい。

ポイント② 目的や情報は明確にする

まず現在の患者の状況や、自院で行ってきた治療を具体的に示します。そのうえで、紹介先の医療機関に依頼したい内容(精密検査をしてほしい等)を明確にしましょう。受け取る側が「なにをしたらいいの?」と迷ってしまうようでは、適切な紹介状とはいえません。

ポイント③ 紹介状の内容と患者の認識を合わせておく

紹介先の医師だけではなく、患者との情報共有も大切です。患者が自身の状況を認識していないと、紹介先で「聞いていない」というトラブルになりかねません。患者に寄り添い、現在の状況を丁寧に分かりやすく説明して、紹介することの意味や治療方法について理解を得ておきましょう。お互いの認識をしっかりとすり合わせておくことが、紹介先での円滑な治療に繋がります。

まとめ

クリニックが紹介状を発行することで、患者はより適切な医療を受けられます。紹介状を迅速かつ適切に発行できるよう、まずあらかじめ雛形を用意しておきましょう。

患者にとって有益な紹介をすることで、あらゆる病気の窓口となり、地域のかかりつけとしての役割を果たすことができるでしょう。

Pick up

クリニック開業後の経営状態も左右する、開業コンサルタントの選び方
コンサルタント特徴と、選定のポイントを紹介。依頼できるサポートは、たくさんあります。