2020.07.20トレンド・ニュース
新型コロナウイルス感染拡大の影響で脚光を浴びている「オンライン診療」。PCやスマートフォンなどの通信機器を利用して遠隔で診察を行い、診断結果の伝達や薬剤の処方を行う診療サービスです。新型コロナウイルス感染症の拡大に際して、初診でも医師の判断に応じて提供できるようになりました。
昨今では、オンライン診療の導入を希望するクリニックも増えていますが、まだ確立されて間もないシステムだからこそ、導入前に正しい知識を身に付けることが大切です。この記事では、オンライン診療の特徴やガイドラインについて分かりやすく解説します。
オンライン診療とは具体的にどのような医療サービスなのでしょうか?
オンライン診療とは、病院やクリニックに出向かなくてもオンライン上で診察ができる診療方法です。ビデオ通話や電話での診察や薬の処方も可能です。
2018年度に診療報酬が改訂され、オンライン診療も保険適用対象となりましたが、あくまでも対面診療の補完という位置付けであることを忘れてはいけません。
オンライン診療は、問診や視診でも問題なく診察可能な疾病に対して、非常に有効です。例えば、生活習慣病で症状が安定している患者については、オンライン診療に切り替えることで、通院の手間を省くことができます。
視診で診断することの多い皮膚科領域も、オンライン診療との相性が良いとされています。また近頃では、摂食障害などの精神科領域の疾病にも、オンライン診断が活用されるようになってきました。
オンライン診療サービスを提供すれば、患者の通院の手間を解消できます。特に高齢者や体の不自由な患者、遠隔地で暮らす患者にとっては、利便性が大きく向上します。悪天候等で外出が困難な場合や、感染防止のため通院を控えたいような場合にも、受診が可能となります。
オンライン診療サービスの導入により、受診へのハードルが下がることで、継続的な治療に繋がるといえるでしょう。医療機関側にとっても、定期的に患者の状況が把握できるというメリットがあります。また待合室の混雑を避けることができるため、院内感染防止の観点からも大変有効です。
厚生労働省は安全な医療提供のため「オンライン診療の適切な実施に関する指針」を示しています。コロナウイルスの影響で改訂された内容をご紹介します。
ガイドラインでは、医師が患者との信頼関係を築き上げるためには、対面診療を行わなければいけないとされています。またオンライン診療に誘導後は、対面診療と適切に組み合わせて診療を行うことが求められています。オンライン診療は、あくまでも補完的なものという位置付けです。
ただしコロナウイルスの影響もあり、医学的に可能であると医師が判断した場合は、初診でもオンライン診療が可能となりました。
オンライン診療はビデオ通話や電話においてのみ認められています。録画動画・画像・文字での診療は行ってはいけないというものです。基本的に、リアルタイムで視覚・聴覚から得られる情報で診療を行わなければならない、と覚えておきましょう。
オンライン診療には、医学的知識だけではなく、情報通信機器の使用方法やセキュリティに関する知識も求められます。これらの知識がないとオンライン診療の提供はしてはいけません。
このため、オンライン診療を実施する医師は、事前に厚生労働省が定める研修を受講し、セキュリティや臨床事例について学ぶ必要があります。研修は無料で、e-learning形式で行われます。厚生労働省のホームページからお申し込み、インターネット上で受講します。
患者は薬剤師から服薬指導を受けなければいけません。対面で服薬指導を受ける方法と電話による服薬指導方法があります。ただし薬剤師が必要と判断した場合は、対面による服薬指導を受けなければいけません。
今回は、注目を集めているオンライン診療について解説しました。
本文でも紹介しましたように、厚生労働省にて、安全な医療を提供するためのガイドラインを定めています。オンライン診療サービスを提供する前に確認しておきましょう。