2020.05.21成功するクリニック経営
日本各地で医師不足が深刻化していると言われています。実際には医師の数は増え続けていますが、大都市部に集中しているため、地方の医師不足は深刻な問題となっています。このような地域医療格差の問題を解決するためのツールとして、大きな注目を集めているのがオンライン診療です。
クリニックの立地にとらわれずに診療の幅を広げることができるため、すぐに導入したいと考えている方もいるかもしれません。ここでは、大きな期待が寄せられるオンライン診療について、メリットとデメリットをご紹介します。
まず、オンライン診療のメリットを解説します。
インターネット環境であれば受診できるオンライン診療は、その手軽さが最大の魅力です。毎週毎月通院するのを負担に感じる患者でも、自宅にいながら診察を受けることが可能となれば、定期的な受診へのハードルが下がります。オンライン診療のサービスを提供することで、患者とのコミュニケーションの機会が増えるといえるでしょう。
場所を選ばずに診療を受けることができるのがオンライン診療。自宅はもちろん、職場や、出張先からも診療を受けることができます。通院時間や待ち時間もかからず、気軽に診療が受けられます。その結果、患者の治療の継続率が高まります。
対面診療では、多くの場合、医師は診察の際に短時間で問診内容を確認することになります。
オンライン診療の場合、インターネットを利用して予め問診をしておくことで、医師が事前に問診内容を確認することができるため、診療方針が立てやすくなります。
地方では医師不足が問題となっています。オンライン診療を活用すれば、遠方の患者もフォローすることができます。また通院の付き添いも不要となります。
オンライン診療では、処方箋の発行や会計などの事務作業を、アプリ上で自動的に完結させることが可能です。このため通常の対面診療に比べると、事務作業の負担を大きく軽減することができます。
次にオンライン診療のデメリットを解説します。
オンライン診療の場合、スクリーンに映し出される患者の姿から、多くのことを判断しなければなりません。画面に映らない部分や細部には目が届きませんし、においを感じることもできません。
当然ながら触診もできず、必要な検査も行えないため、患者の状態を正確に把握できない可能性が高まります。
オンライン診療中に、万が一患者の容態が急変してしまっても、医師として必要な処置をすることが困難です。
2020年5月現在、オンライン診療の診療報酬額は、外来での診療報酬と比べ低く設定されています。オンライン診療の割合が増すことで、収入が減少する可能性もあり、クリニックにとって経済的なデメリットであるといえるでしょう。
オンライン診療は利便性が高い反面、サイバー攻撃を受ける可能性があります。そのため、まずインターネットセキュリティに関する知識を身に付けたうえで、対策を講じる必要があります。厚生労働省のガイドラインでも、オンライン診療導入前に研修を受けることが推奨されています。
今回はオンライン診療のメリット・デメリットをご紹介しました。
新型コロナウィルスの影響で大きな注目を集めたオンライン診療。院内感染の防止はもちろん、地域の医療格差を解消するためのツールとしても期待が寄せられています。
メリットとデメリットを把握したうえで、導入を検討してください。