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2017.03.25トレンド・ニュース

もしもクリニックを継ぐことになったら… これだけは注意しよう

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あるところに、クリニックがあったとします。しかし何らかの理由で、院長によるクリニックの運営継続が難しくなったとき、いきなりそのクリニックを閉院してしまうのではなく、別の医師へ引き継いでもらいたいですよね。今回はこの「クリニック継承」について、気を付けるべきポイントを考えてみます。
継承を行う医師同士の間柄
クリニックを継承するとき、譲渡する医師と、継承する医師の間柄には、2通りあります。
A:親から子、親族間など、血縁関係がある場合
B:血縁関係がない場合

このうち、Bに関しては特に、大きな金銭のやりとりが発生しますので、準備期間や、双方の合意を得るまで、ある程度の期間が必要になります。

気を付けるべきポイント 1 継承に関する手続き
医療法人の場合は、理事長(実質的な経営者)が変わってもクリニックはそのままなので良いのですが、個人が経営するクリニックの場合、「経営者が変わりました」ということをどこかへ届け出れば良い、というわけではありません。基本的には、「クリニックの廃止」と「クリニックの開院」という手続きを踏まなくてはいけないことになっています。
<継承してほしいクリニックの院長>
・地区医師会へ、「継承すること」を打診する
・保健所に「診療所廃止届」の手続きを行う(廃止日より10日以内)
・厚生局に「保険医療機関の廃止届」の手続きを行う(廃止日より10日以内)
・各種指定申請(生活保護ほか)の廃止届のを行う(廃止日より10日以内)
・医師国保、社会保険、雇用保険、労災等の「廃止届」の手続き(廃止日後速やかに)
<クリニックを継承したい医師>
・地区医師会に入会を打診し、必要な手続きを行う
・保健所に、開設に関する手続きを行う(開設日より10日以内)
・厚生局に、保険医療機関の指定申請と遡及申請の手続きを行う(開設日より10日以内)
・各種指定申請(生活保護ほか)の手続きを行う(開設日より10日以内)
・医師国保、社会保険、雇用保険、労災の「新規届」の手続きを行う(開院後速やかに)
継承してほしい(譲りたい)医師は、自分ひとりでスケジュールを決められるものではありませんので、新規開設のときよりも、短期間で素早く手続きを行う必要があるかもしれません。
気を付けるべきポイント 2 譲渡費用
例えば、前述のケースAのように、親子間などで継承する場合は、特に大きな費用を発生させなくても、双方の同意が得られるかもしれません。
しかし、ケースBのような場合は、双方がきちんと納得できるように「譲渡価格」を決定しなくてはいけません。ここを適当にしてしまうと、後々、必ず問題が起こります。
譲渡費用の決定には、数か月から長くて半年程度の時間が必要です。
基本的には、クリニックの現状を理解するために、決算書を元に算出します。しかし医師の場合、決算書の中に記述されている、損益計算書や貸借対照表は、なかなか分かりにくいかもしれません。さらに、地域の医療環境や患者数、どの程度の患者がとどまるか(留保率)、診療報酬単価などを元に算出します。
さて、継承してほしいクリニック側から提示された「譲渡費用」ですが、1回で双方が同意できるとは限りません。継承してほしい側は、自院を高く評価したいと考えますし、一方の継承する方はなるべく費用を抑えようと考えます。どうしても折り合いがつかない場合、新たな継承先を探すところから始めなくてはいけません。
気を付けるべきポイント 3 スタッフと患者さんの継承
もう1つ、それまでのクリニックスタッフをどうするか、という点もじっくりと検討しましょう。
せっかく、それなりに経営が上手くいっていたクリニックであれば尚更、患者さんはそのまま引き継ぎたいですし、患者さんと長く接してきたスタッフも、可能な限り残すことをお勧めします。
ただしここで注意すべきなのは、クリニックスタッフが新院長とうまくやっていけるのか、ということです。院長が変われば、クリニックでの診療内容、使用する医療機器や薬剤、そもそも標榜する科もある程度は変更されるかもしれません。しかし、クリニックのスタッフが一新してしまうと、患者さんとの関係性を最初から作り出さなくてはならないため、非常に多くの時間と手間がかかります。その間に、患者さんが離れてしまうかもしれません。
こういった大きなリスクを抱え込むよりは、クリニックスタッフは可能な限り再雇用し、一日も早く新クリニックを軌道に乗せることを考えましょう。
そのためには、新院長とクリニックスタッフの間で何度もミーティングをしながら、クリニックの特徴や、新院長の意向について、理解を得ることが必要です。
クリニックの継承には、大きく2つありますが、いずれの場合でも、必要な手続きはもれなく行い、経営権の譲渡に関する基本契約書を締結しておきます。記載すべき事項はいろいろありますが、これを院長が診療を継続する片手間で行うことは、非常に困難です。必要に応じて、こういった事柄に長けているコンサルタントなどに相談してみることも、試してみてはいかがでしょうか。

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