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2017.03.25トレンド・ニュース

波に乗り遅れていませんか?医療制度改革への適切な対応をとるために

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日本の医療制度の改革は、数年に一度、短い時には毎年のように、変わってきます。その背景には、少子高齢化の加速、単身世帯の増加、貧困世帯の顕在化、在宅診療へのシフトなど、さまざまな事柄が、複雑にからみあっています。
しかし、そんな医療制度改革についていくことが、医療機関の義務でもあります。今回は、クリニックにおける「医療制度改革の波に乗り遅れない」ポイントを考えてみます。
ここ数年のクリニックの現状
試しに、厚生労働省が行っている「医療経済実態調査の報告」から、クリニックの収支がどうなっているのかを見てみましょう。
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これだけを見ても、よく分かりません。クリニックの収支だけをみると、1件あたりでは大きな差が分からない程度にしか、推移していません。
では、クリニックの数ではどうでしょうか。
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全国的には大きな差が無いようにみえますが、無床クリニックの増加以上に、有床あるいは療養病床を有するクリニックは、減少しています。これは、何を意味しているのでしょうか。
医療制度改革がもたらす影響とは
医療制度改革の内容にはいろいろな事柄がありますが、中でももっとも影響が大きいと考えられるのが、病床数の削減です。
有床である病院での病床数が減ると、自然と患者さんは「かかりつけ医」を受診することが多くなりますし、在宅での療養に切り替えることになります。結果的に、患者さんは病院からあふれ、クリニックの医師による治療を必要とするようになります。
しかし、病院でのベッド数が減ると、より専門性を高めることで他との差別化を図るようになり、重症でなければクリニックへ、という流れが起きます。病院では医師が余剰となることもあります。するとクリニック側では、患者さんが増えるのは良いのですが、これまでよりも重症度が高くなったり、在宅診療を余儀なくされるケースもあります。
厚生労働省の狙いは、正にこれです。一定の地域内で、病院とクリニックが連携し、在宅診療の拡大を進めています。つまりそれだけ、クリニックの医師への過重が大きくなるのです。
これがそのまま、診療報酬の拡大につながれば良いのですが、診療報酬改定により、さまざまな部分で報酬が下がる傾向もあります。
それに加え、スタッフへの賃金の上昇、土地の価格の上昇など、クリニックの経費は大きくなる一方ですよね。
医療制度改革は、クリニック側にこういった影響も及ぼしているのです。
地域によっては競走が激化するクリニック
日本の人口動態とみると、確実に減少傾向にあります。つまり、患者さんになるべき人たちが、どんどん減っているのです。
ここで、先ほどのグラフにもう一度注目してください。
クリニック1件あたりの収益は変わらないのに、クリニックの数は減少しています。見方を変えれば、クリニック全体での収益が下がっている、ということになります。
これを、地域別に考えてみます。
東京都内のように、人口が増加し続ける地域は、まだ良いかもしれません。しかし、地方都市や、過疎化が進む地域では、新患獲得がますます厳しくなっていきます。それに加え、地域医療の拡充が進めば、クリニックの医師の負担はさらに大きくなります。
こういった現状の中、クリニックの経営を安定させていくには、医療制度改革の波に乗り遅れることなく、常に経営を見直し、革新的な取り組みを行っていく必要があります。
クリニックだからこそ、アンテナを高く張ること
医療制度改革、あるいは診療報酬改定の影響は、病院よりもクリニックの方が、早く影響を受けるかもしれません。経営母体の規模や診療内容によっては、数か月程度で収益に大きな影響を及ぼします。
医師は、診療を行うのがもっとも重要な仕事ではありますが、同時にクリニックの経営者でもありますので、世の中の流れを無視することはできません。これらの動きをいち早くつかみ、クリニックにとって最善の経営方針を考えるのが、医療コンサルの仕事です。
常に医療コンサルに頼る必要はありませんが、大きな改革があったときは、自分自身で解決策を講じるだけではなく、広い視野での分析が必要かもしれません。

いかがでしょうか。
クリニック経営は、今後ますます、厳しさを増すといわれています。単に「自分が行いたい診療内容」を掲げただけでは、地域内での競争に勝てる見込みは少なくなるでしょう。そうならないためにも、国の動きを敏感にキャッチするアンテナを、常に高く張っておきたいですね。

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