2024.03.06成功するクリニック経営
使う価値のある経費なら惜しまないが、不必要な経費はできるだけ抑えたい。クリニックを運営されていくなかで、そう考える経営者は少なくないと思います。
一般的に、医療機器の購入や、設備をより使いやすくするためのリフォーム、必要な人件費や、スキルアップのための研修費など、投資としての側面が強い経費に関しては、お金をかける価値を見出しやすいものです。
その一方、多くの経営者が無駄だと感じる経費として、以下の3つが代表的なものとして挙げられます。今回はそれぞれの経費について、スタッフにも知らせておきたい節約のポイントをお伝えしていこうと思います。
設計段階で多くの照明器具が設置され、必要以上に明るい空間になっている診察室や待合室は少なくありません。眩しい場所では照明の明るさを落としたり、照度の低い照明に取り換えたり、不要であれば間隔を置いて取り外したりするのもいいでしょう。
また、電球をLEDに替えることで、照明にかかる月々のランニングコストを削減することができます。
光熱費で最もコストがかかるものに、冷暖房による電気代が挙げられます。特に夏の暑さは年々増してきており、冷房を使用しなければ人体に影響を与えてしまう危険性も考えられます。環境省は、熱中症を予防するためにも過度な節電はせず、適度に扇風機やエアコンを使用することを推奨しています。
ただしエアコンは、起動するだけで電力を大きく使用します。こまめに電源をオン・オフすると、かえって電気代が上がってしまうこともあります。一度起動したらつけたり消したりせず、設定温度を27℃程度に保つことが、最も省エネでありながら、熱中症の予防にも効果があるでしょう。
かつては毎月多くの印刷物が必要だった医療機関。電子カルテやレセコンの導入によりペーパーレス化が進み、印刷が必要な場面は少しずつ減ってきていますが、そんななかでも、医療明細書や領収書、紹介状など、紙を使用する機会はまだ多く残っています。
自院で印刷を行う場合、そのコストの多くを占めるのがインク代です。プリンターを所有しているからといって、カラーのリーフレットやお知らせなどを大量に印刷をしてしまうと、トナーの交換に費用がかかるうえ、人件費も発生します。
昨今では、ネットでデザインデータを入稿するとローコストで印刷してくれる業者も多くいますので、こういった外注を上手に利用して、印刷費の削減を目指しましょう。
日用品や事務用品など、人が日常的に使用するものは、小さな工夫で大きな節約にも繋がります。患者に見せる必要のない印刷には裏紙を使ったり、洗剤や消毒液の使用量に目安を設けたりと、消耗品の使い方をスタッフとともに考え直しましょう。
また、購入にかかる費用も見直すといいでしょう。トイレットペーパーや洗剤などが不足する度に、近所の商店に買いに行けば、購入自体に見えない経費(人件費)もかかってきます。スタッフが基本業務から抜けて買い物へ行けば、それに要したコストの方が、圧倒的に負担が大きいと言えるでしょう。
定期的に補充する必要のある消耗品は、大手のネットショッピングサイト「アスクル」や「Amazon」を利用することで、金額によっては毎回の配送料も無料になったり、定期購入することで割引が受けられたりします。注文履歴から手軽に再購入することもできるので、スタッフが買い出しに消費していた時間を大幅に短縮することが可能です。
スタッフに周知することで節約しやすい経費について述べました。
一人ひとりの小さな心がけが、大きな経費節減に繋がります。まずは一度スタッフ全員で経費についての見直しを行い、しっかりと考えを共有していくことが大切だと言えます。