勤務医と開業医の仕事のスタイルの違いについて

2024.02.09クリニック開業の心得

勤務医と開業医の仕事のスタイルの違いについて

クリニックの開業を考えてはいるものの、開業医になったら「忙しくなるのではないか」「悩みが増えるのではないか」と不安を持っている方もいるでしょう。

開業医すれば、勤務医よりも業務が増えることで苦労や悩みは増えるかもしれませんが、多くのやりがいや収入、自由な人生設計が可能になり、生活の質が上がることも魅力です。

では実際に、開業医になったら担わなければならない業務と、開業医ならではのやりがいについて、具体的に紹介していきます。

開業医が医業以外に担わなければならない業務

・経営面について 患者数や単価、経営データの集積、経営方針

・WEB関連 ホームページの作成・広告・クチコミの把握など

・経理業務 小口現金の管理・請求書払い、銀行入金・税理士との連絡・未収金管理

・労務 スタッフ勤務管理・労働保険管理・入退職者手続き・社会保険関連

・人事 昇給・賞与等の人事評価・スタッフ管理・求人・面接

・運営管理 シフト作成・管理・院内マニュアル作成・緊急時対応等

・法務 契約書確認・保管管理

・行政 保健所手続き・厚生局手続き・公費申請・消防署手続き

・営業系 集団予防接種・検診等

・その他 突発的な対応等

通常の診療以外に上記のような業務をこなさなければならず、勤務医に比べると、医業以外に割く時間的な負担は大きくなります。また業務以外でも、開業時の多額の借入や、集患の問題、災害による影響、スタッフとの人間関係、医師会との交流など、精神的な負担もあるでしょう。しかし、こういった不安要素を払拭することのできる、開業医ならではのやりがいもあります。

収入面について

一般的に、首都圏の開業医よりも、地方の開業医の方が高収入とされています。競合の少ない地方の開業医は集患が安定し、長期的なかかりつけ医として親しまれたりすることが要因だと言われています。その平均的な差額は約一千万円にもなります。

勤務医と開業医の年収の具体的な差

「第21回医療経済実態調査」を参考にした開業医の平均年収は2,748万円で、「令和2年賃金構造基本統計調査」によると、勤務医の平均年収は約1,176万円となっており、開業医の平均年収との差は約1,600万円であることが分かります。

参考:厚生労働省(令和2年賃金構造基本統計調査)

https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html

医療方針の方向性

勤務医は、所属する病院や法人の方針に従って医療行為を行います。既存の医療機器の使用し、病院が採用した薬を処方するのです。

しかし開業医になると、ご自身で診療内容や方針を決定することができます。より患者に近い存在として、自身の力を発揮することができるので、医師としてやりがいを感じられるでしょう。

経営について

開業すると、ご自身でスタッフを雇いクリニックを経営していくことになります。勤務医という「雇われる立場」から、「雇う立場」になるのです。その分責任は大きいですが、経営そのものにやりがいを見出す方も少なくはありません。

生活スタイルについて

勤務医時代は様々な条件を考慮して職場を選んでいたのに対し、開業医はご自身が選んだ地で仕事をすることが出来ます。また、診療時間や休診日などもご自身で決定することができるので、計画的な休診だけでなく、やむを得ない臨時休診もご自身の裁量で決めることが可能です。

まとめ

開業医になると、診療以外に担わなければならない業務が多く、時間的負担や不安要素があるのは確かです。しかし、それを上回るやりがいを感じる医師も多いでしょう。

勤務医の経験を存分に活かし、自身のクリニックで医師として、経営者としてのスキルを磨き、苦労を乗り越えていきましょう。

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