2023.02.10成功するクリニック経営
医療現場におけるカンファレンスとは、患者に関わるスタッフが集まってそれぞれの持つ情報を提供し合い、患者の現在の病状や、今後の治療方針について話し合う場を指します。
大きな病院では、病棟ごとに頻繁にカンファレンスが行われています。患者に関わるスタッフの数にもよりますが、比較的大人数で行われることもあり、医師や看護師をはじめとする多職種が情報を共有します。
では、クリニックのような小規模な医療機関においても、少人数のスタッフでカンファレンスを行う必要があるのでしょうか?今回はクリニックにおけるカンファレンスについて考えてみましょう。
カンファレンスでは医師だけでなく、クリニックで働く看護師・受付・医療事務スタッフの様々な視点から患者の情報を交換します。患者の病状はもちろん、環境やメンタルなどあらゆる側面から、最も適切なケア方法について意見を出し合うことができるため、提供する医療の質も高まります。
既往歴やアレルギーによって特別な措置が必要な患者や、長期的なフォローが必要な患者、感染症を患っている患者など、クリニック全体で情報を共有し対応に注意することで、医療過誤や院内感染などの事故を防ぐことができます。
カンファレンスを行うことで情報共有し、お互いにサポートし合えることで、スタッフ同士の関係性も良くなる傾向にあります。実際、小中規模のクリニックでは、人間関係が原因で退職してしまうケースが後を絶ちません。医療職と事務スタッフ間の温度差を埋めるためにも、カンファレンスで診療行為への共通認識を持つことは重要です。
また、カンファレンスを通じてお互いの知識とノウハウを認知し合うことで、スタッフ間の一体感の形成にも繋がります。
医師や看護師に比べると圧倒的に医療の知識量が少ない事務のスタッフに、医学的な情報を共有することを、無駄だと感じる方もいるかもしれません。
その場合は全ての情報を共有するのではなく、患者の大まかな病状や、行ってはいけない医療サービス、患者の性格や性質など、クリニック全体で共有するべき認識のみを、要点を押さえて共有するようにしましょう。
医師や看護師は医療の現場で、受付や医療事務スタッフはそれ以外の場面で、それぞれに患者に関わる機会があります。全てのスタッフがそれぞれの持ち場で適切に患者に寄り添うことで、クリニックの価値は高まります。クリニック全体で患者を見守ることが、より適切な診療へと繋がるでしょう。
規模の小さなクリニックであっても、密に情報を共有することで、全体の意識が高まり、クリニックが成長していくきっかけになるかもしれません。