2022.12.01成功するクリニック経営
クリニックに来られる患者のなかには、診察が終わったあと、財布を忘れてしまった、お金が足りないといった理由で、支払いができない方もいらっしゃいます。このような未回収金を、保険診療だから、少額だからと放置していませんか?未収金を放置していると、時間が経過するほど回収するのが難しくなるだけではなく、クリニックの経営にも影響を及ぼしかねません。
不払いを何度もくり返したり、連絡が取りにくかったりする方であっても、医療機関は診察を拒否することができないと定められています。患者から料金が回収できない場合、どのような対処方法があるのかを確認しておきましょう。
患者から治療代を回収できない場合は、まず次のような方法を試してみましょう。
まず電話で連絡をします。連絡がとれたら、何日に支払いに来られるか具体的な日にちを決めましょう。日にちを決めておいても来院されない場合には、再び連絡試みます。しかしなかにはあえて電話に出ない方もいるかもしれません。そのような場合は次のステップに進みます。
患者と連絡がとれない場合は、督促状や催告状を送ります。このような書類を送ることで、相手にプレッシャーを与えることができます。督促状や催告状の書き方については、一度弁護士などの専門職に相談し、自院専用の雛型を作成しておくと便利です。
催告しても支払ってもらえない場合は、組合または保険者に回収を依頼することができます。患者が国民健康保険に加入している場合は、健康保険組合に請求することができます。
国民健康保険法 第四十二条第2項
療法の給付を受ける場合の一部負担金について
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=333AC0000000192第四十二条第2項
ただし、全てのケースで支払いをしてくれるわけではありません。組合または保険者に依頼する場合は、それまでに連絡をとったり、書類を送付したりした証明が必要になります。
各地の自治体では、医療費を支払えない方のために、一部負担金の減免・猶予などの制度を設けている場合があります。ただし、自治体によって条件が異なる場合があるので、患者に案をする前に確認をとることが必要です。
支払いの滞りを防ぐためには、次のような方法があります。
現金がなければ、クレジットカードやデビットカード、電子マネー、QRコード決済などで払えるようなシステムを導入するのもいいでしょう。日本では現在、医療機関におけるキャッシュレス決済の普及が遅れていますが、患者からのニーズは非常に高く、導入すれば他院との差別化にも繋がります。
何度も支払いが遅れている方、もしくは高額の治療を受ける方には、前金を徴収するといった方法があります。海外の医療機関では、踏み倒しを防止するために、治療費は前払いで支払われることが多いようです。
一時的に治療費を支払えない患者も、医療機関から働きかけることで、多くの方がすぐに請求に応じてくれます。しかし時折、患者と連絡が取れない、支払いの意思や能力がないなどの理由で、未収金が発生することもあります。状況に合わせて対処していきましょう。不払いが発生しないよう事前に準備しておくことも必要です。