2022.08.04成功するクリニック経営
一般的に医療従事者の派遣は法律で制限されていますが、定められた条件を満たしていれば、看護師を派遣スタッフとして雇用することができます。例えば、出産や育児を理由に看護師がしばらく休業することになった場合は、派遣スタッフに欠員を補ってもらうことができるのです。クリニックにとってはありがたい制度ですね。
ここでは、看護師を派遣で採用する条件など、看護師派遣制度について解説していきます。
結論から言うと、看護師の派遣は違法ではありません。2006年以前には看護師の派遣が全面的に禁じられていたことから、今も誤った認識が世間に残っていますが、実際には、次の条件に当てはまれば看護師も派遣スタッフとして働くことができます。
1. 紹介予定派遣の場合
2. 産前産後休業、育児休業、介護休業を取得した者の代わりに働く場合
3. 離島・僻地で働く場合
また上記の条件に当てはまらない場合も、介護老人施設など医療機関以外の施設であれば、看護師も派遣スタッフとして働くことが可能です。
産前産後休業や育児休業を取得したスタッフに代わって、派遣スタッフを雇用することで、一定期間その労働力を補填することを産休代替派遣と呼びます。
クリニックにとっての最大のメリットは、欠員分の労働力を、欠員する期間だけ、ピンポイントで補填することができる点です。もし育休延長の希望があった場合でも、派遣スタッフとの間で条件が整えば、派遣期間を延長することも可能です。
産休・育休明けに復帰するスタッフにとっても、自分の働く場所が確保されている安心感は大きく、クリニックの労働環境に対する信頼感にも繋がるでしょう。有能な看護師が出産を機に退職してしまうことを防ぐことができれば、結果的に患者にとってもメリットにもなります。
また、派遣スタッフ側にとっても、職場や働き方の選択肢が増える、いろいろな医療機関で働く機会を得られる等のメリットがあります。
派遣スタッフが自院の業務に慣れるまでには、当然ですが、時間がかかります。教育も必要ですので、院長や現在のスタッフには、そのための新たな業務が発生するでしょう。また、派遣期間はあらかじめ決められているため、延長を求めても断られる場合があります。自院とのミスマッチで、派遣期間を満了せずに退職してしまうケースも考えられます。
看護師が産休や育休を取得することが決まると、院長は、その間の労働力の補填に頭を悩ませることになります。もともと余剰人員がいる場合は問題ありませんが、そのようなクリニックはほんの一部でしょう。
スタッフが不足した状態のまま業務を続けると、他のスタッフの業務が増えるだけでなく、患者にも負担がかかります。看護師の産休や育休が決まったら、産休代替派遣制度の利用を検討してみましょう。