2022.02.28成功するクリニック経営
医療機関で働くスタッフは、看護師や医療事務員など女性の占める割合が多いため、安定したクリニック運営のためにも女性が働きやすい職場環境をつくることが大切です。
結婚や出産を機に、働き方を変える必要に迫られた時。優秀なスタッフに働き続けてもらうためには、どのような環境が必要となっていくのでしょうか?今回は女性の働きやすい職場環境について考えていましょう。
厚生労働省の調査によると、医療機関で働く女性医師の数は全体の二割程度。医師に関しては、女性の占める割合がまだまだ少ない状況が続いています。医師だけでなく女性スタッフが働きやすい職場にするためには、子育てや介護などで離職する人を減らす努力が必要となっていくでしょう。
それでは具体的にどのような対策が必要となっていくのか考えてみましょう。
女性スタッフが出産・育児や介護に際して仕事を辞めずに済むために、長期休暇をとりやすいシステム作りが必要です。
妊娠したらつわりなどの体調不良で出社がままならなくなることもあります。出産後は育児に専念せざるを得ない時期もあるでしょう。「休みやすい」そして「戻りやすい」職場であれば、その都度職場を辞める必要がありませんので、ライフステージに合わせて休みをとりながら、長く仕事を続けられます。
子育て世代の女性が働きやすい環境を作るには、院内保育・保育所・病児保育など、安心して利用できる保育施設が必要です。子どもの保育に対する不安がなくなれば、妊娠・出産のために離職したスタッフも早期に復帰しやすくなります。院内保育を作るのが難しければ、近くの保育所と提携を結ぶのもいいでしょう。
正職員で働くのがむずかしければ、育児や介護の状況が落ち着くまではパートタイムで働くなど、スタッフそれぞれに最適な働き方を考えましょう。スタッフの状況に合わせて仕事の負担を軽くすることも必要です。
妊娠や育児などをしながら働くスタッフは、周りの方に気を使いながら働き続けなくてはいけません。真面目で責任感のあるスタッフほど、他人の負担を考えて、無理をしてしまいがちです。子どもの学校行事や急な体調不良の際にも、気持ちよく休める環境をつくるために、まず医療機関がスタッフ個々の事情に理解を示しましょう。
もちろん、子育て中のスタッフだけでなく、他のスタッフも平等に休めるよう配慮することが大切です。
一方で、スタッフが休んでしまうと医療機関には大きな負担になります。労働力の不足をどのように補っていくかを考えておきましょう。
医療機関においては、医師や看護師など医療従事者の派遣は原則として禁止されていますが、産休や育休・介護休暇を取得した労働者の補充のためであれば、例外として認められます。このシステムを「産休代替派遣」といいます。
人手不足に陥る前に、あらかじめ労働力の補充方法を検討しておきましょう。
医療に従事する女性が長く仕事を続けるには、職場環境が整っていると同時に、周囲の理解が必要です。スタッフ同士が互いの事情に配慮する習慣をつけるためにも、院長などの責任者が先頭に立って出産・育児・介護に理解を示しましょう。