2021.11.03成功するクリニック経営
2020年4月に正社員と非正規雇用労働者との不合理な待遇差を禁止する「同一労働同一賃金」の改正法が施行されました。これまで、正社員か契約社員かなどの雇用形態の違いにより、基本給や各種手当、賞与の金額が異なっていたケースがありました。また、正社員には交通費を支給するがパートにはしない、といったケースも見られました。
このような正規雇用と非正規雇用の不合理な待遇差をなくすために、「同一労働同一賃金」について法が整備されたのです。
今回は雇用側が知っておきたい「同一労働同一賃金」の内容や、具体的な対応について紹介します。
同一労働同一賃金とは、「正社員と非正規雇用労働者(パート・契約社員など)がいる職場で、仕事内容が同じであれば、同じ賃金が支払われるべきである」という考え方です。正規雇用・非正規雇用の不合理な待遇差をなくすことを目的としています。
クリニックでパートやアルバイト、派遣社員などを採用している場合は、雇用形態ではなく業務内容にあった賃金や福利厚生を考える必要があります。また、正社員には賞与を支給しているが非正規雇用の職員にはしていない、といった場合も、同一労働同一賃金の原則に従い支給を検討する必要があります。
パートタイム・有期雇用労働法では、正社員と非正規雇用労働者の間に不合理な待遇差を設けることが禁止されています。不合理な待遇差を生まないために、以下の二つの規定が設けられています。
の違いに応じた範囲内で待遇を決定する必要があります。
つまり、仕事の内容や責任の重さが違うなら、違いに応じて適正な待遇差をつけることは可能です。
が同じ場合、待遇について同じ取り扱いをする必要があります。
つまり、仕事の内容や責任の重さが同じなら、待遇に差をつけてはいけません。
厚生労働省ホームページhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144972.html
もし、非正規雇用労働者が「正社員との待遇差の内容や理由」に対して疑問があった場合、雇用主はその理由について説明をしなければなりません。
例えば、「パートさんはいつやめるかわからない」「パートさんは教育しても昇進がない」などの理由は待遇差の理由にはなりません。
同じ職場で同じ業務を担当している正規職員と非正規職員がいる場合は、この機会に働き方やそれぞれの役割などを整理しましょう。
同一労働同一賃金は、政府がすすめる「働き方改革」のひとつです。同じ職場で働くスタッフ同士の待遇差をなくし、正規職員・非正規職員の待遇差をなくすことで、スタッフのモチベーションアップにもつながります。
この機会にスタッフ一人ひとりと向き合い、仕事内容と働き方、それに対する賃金や福利厚生を見直してみてはいかがでしょうか。