クリニックの税金|個人開業と医療法人はどちらがお得?[2]医療法人の場合

2020.07.30成功するクリニック経営

クリニックの税金|個人開業と医療法人はどちらがお得?[2]医療法人の場合

クリニック開業は、個人開業医と医療法人の2つの方法があり、それぞれ課せられる税金や税率が異なります。一般的に、個人開業医の所得金額が3,000万円を超えるようになると、医療法人化によるメリットが得られるようになると言われています。

前記事では個人開業医の税金について解説しました。この記事では医療法人化した場合の税金のポイントについて解説していきます。

税金 1. 法人税

個人開業医が医療法人化した場合、収入と経費は医療法人に属することになり、院長は法人から給与を受け取ることになります。院長が法人から受け取った給与に対しては、給与所得控除額を控除した後の残額に対して、所得税と個人住民税が課税されます。

法人が得た利益に対しては、法人税が課税されます。法人税は税率が23.2%(800万円までの所得に対しては15%)の比例税率で課税されます。

医療法人化した場合、法人全体での税率は、法人税と住民税をあわせて27%ほどで、個人開業の場合の最高税率55%と比較すると28%ほど低くなります。したがって、個人所得が高い開業医ほど、医療法人化したほうが税金は安くなります。

また、医療法人にした場合、院長の父母を役員にして給与を支払うなど、所得分散がしやすくなるのもメリットです。

税金 2. 法人住民税

医療法人には、法人税の他に法人住民税が課税されます。

法人住民税は、法人都道府県民税と法人市民税のそれぞれに申告しなければいけません。税率は、都道府県や市町村で異なり、東京都の場合、小規模法人では地方法人税と合わせて法人税額の17.3%となります。

税金 3. 法人事業税

医療法人の課税所得金額のうち、保険診療以外の自由診療収入や雑収入には、法人事業税が課せられます。法人事業税は、400万円までの所得金額には3.4%、400万円までの所得金額には4.6%の税率で課税されます。

保険診療収入は非課税のため、保険診療割合が高いクリニックでは事業税は少なくなるケースが多いです。

税金 4. 消費税

医療法人も、基準期間の課税売上(前々年の課税売上)が1,000万円を超えると、その年度の課税売上に対して消費税の納税義務が生じます。基準期間の課税売上が5,000万円以下の場合は、簡易課税で消費税を計算できます。

個人開業医と医療法人の税金の比較

最後に、個人開業医と医療法人の税金を比較してみましょう。

個人開業医 医療法人
税目 ・所得税

・住民税

・個人事業税

・消費税

・相続税

・不動産取得税

・都市計画税

・固定資産税

・償却資産税

・法人税

・地方法人税

・法人住民税

・法人事業税

・消費税

・不動産取得税

・都市計画税

・固定資産税

・償却資産税

特徴 課税所得金額が1,800万円超の場合、所得税と住民税あわせて50%の税率が適用される。

医療法人化した場合、法人全体での税率は27%程度となり、個人開業の場合の最高税率55%と比較すると28%ほど低くなる。
結論 3,000万円以下の場合有利 3,000万円以上の場合有利

まとめ

この記事では、個人開業医としてクリニックを開業した際にかかる税金について解説しました。

個々のケースにもよりますが、所得金額が3,000万円を超えるかどうかが、医療法人化の目安と言われています。開業前に所得の予測がつきにくい場合は、開業後の実績によって医療法人化を検討するのもいいでしょう。

 

 

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