2020.06.01開業準備
勤務医がクリニック開業を決意したのは、どのような時なのでしょうか?「昔からの夢だった」という医師も多いですが、理由はそれだけではありません。どのようなきっかけでクリニックの開業に至ったのか、様々なケースをまとめました。
医科大学入学前から開業を志している、「昔からの夢だった」ケースです。特に歯科医にこの傾向が多いように見受けられます。
このような場合、開業前提で医師の道を選択していますので、大半が病院やクリニックの勤務経験を経て独立開業します。近年では、若い医師が開業する傾向も高まっています。
親が経営する病院を引き継ぐことを前提にしていた、という事例もよくあります。この場合、継承した施設の古さから、移転や新築にいたるケースが少なくありません。地域に根付いた信頼を受け継ぐことができるのは、大きな魅力のひとつです。
子供の入学や親の介護など、ライフスタイルの変化に伴い開業を決断するケースもあります。家庭の事情で転居や定住を余儀なくされ、それまでの勤務形態を継続できなくなる場合も含まれます。
残業を含めた日常の激務や、月に数回の当直勤務に対する身体的な限界が、開業の直接的なきっかけとなることもあります。視力の低下が原因で手術ミスをするなど、将来起こり得るリスクを想定し、定年を待たずに、開業医としての第二の人生を選択するケースです。
処遇面での不満から開業を決意するケースもあります。医療過誤という大きなリスクを抱えて働くなかで、納得のいく収入を得られていないと感じる勤務医は少なくありません。
教授になれる可能性がなくなったなど、出世への不満が理由となることもあります。医師として充分なキャリアを持っていても、医療機器や人事などの決定権がある要職に就けないケースです。病院内の人間関係に疲れた、これ以上の転勤を嫌ったなどの理由もあるようです。
基礎研究や若手医師の育成よりも臨床の現場に居たい、地域に根差した医療を実現したいなど、医師本来の役割に対する熱意も、開業への大きなきっかけとなるようです。離島や無医村地域への貢献を希望するケースも数多くあります。
勤務医として避けて通ることのできない、重篤な患者への対応、困難な手術、当直時の専門外診察などをできるだけ避けるために、開業を決意された方もいらっしゃいます。「100%安全な医療はあり得ない」という大前提を理解しようとしない患者が増え、医療訴訟のリスクが年々増しているためです。
また近年、地域医療体制や法制化の不備によるトラブルを、医師個人に責任転嫁するような事例も見られます。このようなリスクを回避したいという医師が、開業の道を選ぶこともあります。
ここでは、勤務医がクリニック開業を決意する主なきっかけをご紹介しました。
憧れからクリニックを開業するイメージが強いですが、実際には、勤務先の病院や勤務形態への不満、ライフスタイルの変化など、あらゆるケースがあることがわかりました。
なぜ開業を決意したのか。自分に問い直すことで、理想的な生き方と目指すクリニック像が見えてくるかもしれません。