クリニック開業時に押さえたい競合調査と分析方法

2020.04.28開業準備

クリニック開業時に押さえたい競合調査と分析方法

クリニック開業時には、診療圏内の競合クリニックや病院について十分な調査を行い、戦略を練ることが必要です。診療圏調査はコンサルティング会社が行うことが多いですが、ここでは、自分でできる簡単な調査方法をご紹介します。

1. 診療圏を設定する

まず、開業予定地の地図を用意します。地図上に立地環境と診療科目から推測して、診療圏を設定します。

診療圏の設定には、地域の特性を考慮する必要があります。主な移動手段が徒歩なのか、自家用車なのかによって通院できる範囲は大きく変わりますし、線路や河川によって地域が分断されていれば、人の動きは限定されます。大きな駅や商業施設の近くであれば、人の流れも多いでしょう。

一般的に、都心では、徒歩での通院を前提に、診療圏を半径1km内程度に設定することが多いようです。自家用車での通院を前提とする場合、5分で到着する距離(半径3km程度) をひとつの目安として考えます。専門性の高いクリニックであれば、より遠方からの通院も期待できます。

診療圏を設定したら、わかりやすく線で囲ったり、着色したりしておくといいでしょう。

2. 競合クリニック施設を調査する

作成した地図上に、競合となるクリニックや病院をマッピングしていきます。自院と同じ診療科目を標榜するクリニックだけではなく、他の診療科目のクリニックもマッピングしていくと、周辺状況がより明確となります。

地図上で眺めるだけではなく、実際に足を運ぶことも大切です。実際に足を運んでみると、立地条件や患者数などの実態がより明確に掴めます。

周辺のクリニック情報は、医薬品の卸売業などを通じて確認することも可能です。このような情報網も積極的に活用しましょう。

3. 競合クリニックの運営状況を把握する

同じ診療科目を標榜するクリニックが周辺にある場合は、医院長の年齢や後継者の有無まで確認しましょう。医院長が高齢で、週3日程度しか開業しないクリニックもあり、当然ながらそのようなクリニックは競争率が低いです。

競合しないと思われる診療科目のクリニックは、互いに患者を紹介し合うなどの協力関係を結ぶことができるため、プラスの要因と考えましょう。

4. 競合クリニックの情報をリストにする

現地調査して得た競合クリニックの情報は、リスト形式で整理すると分かりやすくなります。リストを作成する上で、最低でも以下の情報は押さえておきましょう。

  • 1. クリニック名称
  • 2. 標榜科目
  • 3. 所在地
  • 4. 診察時間・休診日
  • 5. 施設形態
  • 6. 医院長名
  • 7. 医院長の年齢または卒業年度
  • 8. 医院長の出身大学
  • 9. 後継者の有無
  • 10. 一日当たりのおおよその外来患者数
  • 11. 外来患者専用駐車場の台数

5. クリニックの外来患者数を推測する

診察予約システム

最後に、開業後に来院する患者数を推測してみましょう。

まず診察圏内の推定人口を計算します。自治体の統計資料などを参考にするといいでしょう。推定人口にそれぞれの都道府県別受療率をかけて診療圏内の推定患者数を求め、それを同じ診療科目のクリニックに自院を足した数で割ります。

診療圏内の人口 × 都道府県別の受療率 ÷(競合クリニック数+1)= 推定外来患者数

この数式で求めた数値は、あくまでもひとつの目安に過ぎませんが、クリニック開業計画初期の簡易的な収入予測には十分利用できるでしょう。

実際には、開業する地域の特性や、診療圏内の住民の年齢・性別分布によっても推定患者数は変わってきます。より詳細な調査をするために、診療圏調査を専門とするコンサルティング会社に相談するのもいいでしょう。

まとめ

ここでは、クリニック開業時に行うべき競合クリニックの調査方法を解説しました。

競合を分析することはとても大切です。診療圏内に病院やクリニックがある場合は、お互いの距離や、他院が標榜する診療科目や経営状況を入念に調査し、十分に検討してから開業をしましょう。そうすることで、安定的なクリニック経営が見込めるはずです。

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