クリニック開業時に押さえたい月間収入・年間収入予測の算定方法

2020.04.17クリニック開業の心得

クリニック開業時に押さえたい月間収入・年間収入予測の算定方法

開業に備えてクリニックの事業の設計を行う際、最初に考えなければいけないのが、資金計画です。あらかじめ収入と経費、利益の予測を立て、資金の調達方法や投資対象を計画しておきます。

なかでも最も難しいのが、事業で見込める月間収入・年間収入の算定です。

収入を予測する際は、開業後の患者数の増加ペースや、診療科目ごとの患者数の季節変動に留意する必要があります。具体的に見ていきましょう。

クリニック開業時の収入予測の手順

クリニックの収入は、患者1人当たりの診療単価、1日当たりの患者数、診療日数の基本要素から予測することができます。

収入予測の基本的な計算式は、

◆ 月間収入金額 = 患者1人当たりの診療単価 × 平均患者数 × 月間の診療日数

◆ 年間収入金額 = 患者1人当たりの診療単価 × 平均患者数 × 年間の診療日数

となります。もう少し詳細に解説しましょう。

1.  診療単価を算定する

診療単価は、診療科目や医師の診療方針によっても異なりますが、事業計画を立てる場合は、診療科目ごとの平均診療単価を使用して計算するのが一般的です。

入院施設がある場合は、入院収入と外来収入は分けて計算する必要があります。また、院内処方か院外処方かでも、診療単価は大きく変わります。

複数の診療科目を扱うクリニックの場合は、それぞれの診療単価から個別に収入を予測します。

2. 平均予測患者数を算定する

患者数を予測する場合、開業後の患者数の増加ペースと、季節変動による患者数の変化に注意しなければいけません。

通常、開業当初の患者数は少ないため、1日5~10人くらいを計画します。また、開業後3年間は患者数が増えるとされるため、事業計画も、患者数が増えることを前提で作成します。

開業後の患者数予測例
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
1 5 6 7 8 9 10 11 11 12 13 15 18
2 20 19 18 17 17 18 18 17 18 20 22 25
3 26 26 25 27 29 31 33 31 34 38 42 48

 

また、診療科目によっては、患者数に季節変動があります。季節変動がある場合、その変動を加味しながら患者数の予測を行うことが大切です。

診療科目 患者数のピーク
内科 11~2月。インフルエンザの流行にあわせて患者数が増える。
小児科 12~2月。10月頃から忙しくなる。
耳鼻科 1~4月。花粉が飛び始める頃から患者が増える。
眼科 2~4月。花粉症が流行る時期に患者は増える。
精神科 4~5月。進学や就職などの環境の変わり目に体調を崩す人が増える。
整形外科 6~8月。暖かくなるにつれて外出する人が増えて、事故などが増える。
皮膚科 7~8月。気温が高くなるにつれて皮膚の調子が悪くなる患者が増える。
産婦人科 比較的患者数の季節変動はない。

3. 診療日数を決める

診療日数は、休診日、年末年始や夏季休暇、学会の参加日数等を考慮し、月間または年間で、それぞれ何日診療するかを算出します。

休診日が少ないほうが、当然収入も多くなります。

開業当初は、休診日を少なく設定したり、競合するクリニックと休診日をずらしたりするなどの経営努力が必要です。

まとめ

ここでは、クリニック事業計画の際に予測する月間収入や年間収入の算定方法を解説しました。

ポイントは、開業後の患者数の増加ペースと、診療科目ごとの患者数の季節変動に留意することです。これらを踏まえて収入見込み額を算定してみてください。

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