医院開業後、トラブルを起こす患者『モンスターペイシェント』への対応策

2016.07.29開業準備

医院開業後、トラブルを起こす患者『モンスターペイシェント』への対応策

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いざ、クリニックを開業してみると、遅かれ早かれ経験するのが患者とのトラブル
患者さんの中でも突出して病院側に横柄な態度をとったり、無理難題を言ってくる人が「モンスターペイシェント」。

モンスターペイシェントとは、医師やスタッフに対して理不尽な要求を言ったり、暴力や暴言を繰り返したりする人のこと。

今回は、実際にあったモンスターペイシェントの事例を元に、「じゃあ、どうすれば良かったの?」というポイントを整理してみましょう。

医院開業後の『モンスターペイシェント』対応策

トラブルその1 受診しない患者への「処方」を強要する患者

トラブル例)自らの診察の時に、自分の目薬だけではなく、受診していない子ども(中学生)に対する処方を、医師へ強要する母親

花粉症の時期になると、耳鼻科も眼科も、とても混みますから、出来れば受診したくないと考えてしまうかもしれません。毎年同じ目薬を処方されているなら、今年も多分同じもの…と思うこともあるでしょう。

ましてや、学校やクラブ活動に忙しい中学生などは、こう考えたくなる気持ちも分かります。しかし、日本では、これは出来ません。せめて、今シーズン1回受診してくれれば、次はお薬だけでも良いのですが、この最初の1回すら受診させず、処方だけ!と騒ぎたてる母親のケースです。

対処法

こういったトラブルは、花粉症に限ったことでなければ、多くの診療科でもみられることだと思います。この場合、医師は「処方はあくまで診察した結果で生じるもの。本人を診察出来ないなら、処方は無理」と主張して良いと思います。

これは、受付を始め、スタッフ全員で共有すべき認識です。患者が「●●病院の先生はやってくれた!」と言い出したのであれば、「では、●●病院へどうぞ」と、転院を勧めましょう。

トラブルその2 スタッフに対し、ストレス発散をしようとする患者

トラブル例)自分が希望する治療を受けられないと、受付前でスタッフに対して1時間以上、無駄話を続ける患者。ここ数か月、話の内容が「院長に対する愚痴」から「訴えてやるぞ」という内容に変わってきた

このケースは、週に1度くらいの頻度で受付終了間際に受診し、「胃が少し痛いから今すぐ胃カメラを」とか、「去年の●月ごろに出された薬が効いたから、それを出せ」、内科にも関わらず「昨日、腰を痛めたから、シップを出せ」など、無茶な要求を続ける患者のケースです。診察室から出てくると、希望通りの診察では無かった、という話を1時間以上、診療時間が終了しても続けています。途中で医師が顔を出すとすぐに帰りますが、医師が出てこないとなかなか帰ろうとしません。最近では「ここの医者は本当にダメだ。俺の体調が悪くなったら、訴えるからな」という捨て台詞を残していくようになりました。

対処法

医師はあくまで、自分の診察による検査や治療、処方を行うべきですので、この患者の要求には、答える必要はありません。医師は、診察後に受付で騒いでいる患者のところへ行き「あなたの無理な要求に応えるつもりはないし、診察後にここで1時間も騒ぐのであれば、もう来て頂かなくて結構です。」と、はっきり伝えましょう。

トラブルその3 「診察室のドアに手を挟んで、子どもがケガをしたから、必要経費を全額負担しろ」という母親

トラブル例)診察室のドアの開閉とのタイミングが合わず、ドアに指を挟んでしまった、患者。その母親から「隣町の整形外科に通うことになった子どもの治療費と、タクシー代を負担しろ」という要求。

このケースでは、足をけがしているために動きが鈍い患者と、患者が診察室へ入りきるまでドアを抑えておかなかった母親、が登場します。ドアに指を挟んだ子どもは、特に泣くことはありませんでしたが、「痛い!」という声を上げたため、看護師が慌てて駆け寄り、医師へ指を見せました。特に動きも悪くないし、腫れてもいないので「大丈夫だと思うけど、一応、指のレントゲンも撮りますか?」と母親に告げたところ、この「一応」が気に入らなかったらしく、診察を拒否。そのまま帰宅した。後日、「隣町の整形外科で、指と足の治療を続けている。おたくでケガしたのだから、治療費とタクシー代を負担しろ」と言われています。

対処法

こういったケースでは、患者本人よりも、母親の「スイッチ」がどこで入るのかが分からないため、気付いた時には大騒ぎをしている、ということもあります。今回の場合、患者(の母親)からの要求は、当然ながら正当なものではありませんので、拒否して良い内容です。一度、自院での診察を拒否しているわけですから、あなたにとっての「患者」ではありません。ただし、今後はこういったトラブルが起きない様、「患者が完全に入室するまでドアを開けておく」という対策も、必要かもしれません。

トラブルその4 検査を拒否して病状が悪化、「見逃した医師が悪い」と、治療費と慰謝料を請求する患者

トラブル例)腹部の違和感で受診した患者だが、検査の必要性を伝えたが拒否。薬の処方を希望するが、検査が必要であることを伝えると怒り出し、「もういい!」と帰ってしまった。数週間後、胃潰瘍の穿孔で市内の病院へ救急搬送されたが、「見落としたのだから、治療費は負担しろ」と、毎日電話がかかってくる

このケースでは、医師ははじめから、胃の病変を疑っていましたが、患者側が胃カメラなどの検査を拒否しています。胃薬だって、胃の状況をみなければ処方はできませんので、この医師の対応は間違っていません。

しかし、きちんと病状を把握せずに放置、患者は胃潰瘍の穿孔を起こしました。結果的に救急搬送されたのですが、自院での診察の状況を「胃潰瘍を見逃した」といい、治療費の負担を求められているケースです。

対処法

これまでのケースと同様、不当な要求には、キッパリと「NO!」と伝えます。このケースの場合は、「診察時に必要な検査を受けてくれなかったため、発見できなかった。その後の自院を受診することなく、胃潰瘍が悪化したのだから、当方に治療費を負担する義務はない」ことを、はっきりと伝えましょう。

また、後々問題となることを避けるため、カルテには患者へ何を伝えたか、その結果患者がどうしたのか、きちんと明記しておくことも必要です。

トラブルその5 病院職員(医者・看護師・事務員)に暴力を振るう患者

トラブル例)「前に治療したところがまた痛み出した!」と言いながら病院内に入ってきて、事務員にいきなり殴りかかってきた。

対処法

暴力沙汰は犯罪です。問答無用でその場で警察に電話をしましょう。

まとめ

いざ、クリニックを開業すると、嬉しくない来訪者が来ることもあります。これは、「広く門戸を空けているならある程度は仕方のないことだ」と割り切り、毅然とした態度で解決していきましょう。

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