クリニックを運営するのに適正なスタッフ数とは

2024.03.29クリニック開業の心得

クリニックを運営するのに適正なスタッフ数とは

クリニック開業にあたり、スタッフ採用という壁に頭を抱える医師は少なくありません。円滑に業務を遂行するために、具体的にスタッフは何人いればいいのか。また、募集内容はどのようにしたらいいのか。

今回は、開業されるクリニックに合った適正な人数と、採用の際の注意点をご紹介します。

診療に必要なスタッフの人数とは

クリニックのスタッフの適正人数は、最大患者数の70%に対応するために必要な数を目安にして考えます。実際に必要なスタッフの人数を想定する場合、一般的には、患者20人に対して1人としてして計算されます。

つまり、最大患者数が100人の場合には、その70%である70人に対し、3~4人のスタッフが必要ということになります。

もちろん、クリニックの規模や地域、専門科によっても、想定する患者の数は様々ですので、ご自身のクリニックに沿ったスタッフの採用人数を考えましょう。

看護師の募集について

一般的なクリニックの規模だと、看護師は1人~2人で十分回すことができるでしょう。しかし、看護師が1人の場合は休みを取るのが難しく、業務への負担が増えてしまいます。これが原因で退職してしまうケースもあるため、常勤で1名雇用する他に、パートの看護師が常時1人~2人いることが理想的です。

受付・事務スタッフについて

受付・事務のスタッフは通常、2人〜3人で業務を共有します。また、季節性や流行性の疾患に対応するクリニックでは、時期によってかなり混み合う傾向があるため、患者の増減に合わせて増員できる体制を整えておきましょう。

スタッフが足りないことで起きる問題

スタッフの適正な人数はクリニックの規模によって変動します。重要なのは、業務量に値する人数を考慮して、最低スタッフ数の目安を決めておくことです。スタッフが足りないと、以下のような問題が発生しやすくなるからです。

業務量の超過

昨今は医療界全体で働き手不足問題が生じています。さらには高齢患者の割合も増加し、スタッフ一人あたりの業務量が多くなりやすい傾向にあります。適性な業務量を超えると、スタッフはストレスを抱え、今よりも働きやすい環境を求めはじめますので、結果的に離職率の上昇にも繋がります。

人間関係上のトラブル

クリニックでは、重大な医療ミスを防止するために、業務に正確性が求められます。それに加え、スタッフの人数が不足することで、効率性も求められます。緊張感のある職場でプレッシャーを抱えて仕事をすると、ストレスを抱えやすくなり、人間関係上のトラブルに繋がります。

実際の現場ではなによりも患者を優先し、医師の診察がスムーズに行えるようスタッフ同士の連携が強く求められます。そんななか、一度人間関係がこじれてしまうと、業務が忙しいゆえ修復するのが困難になることがあります。

離職率が上がる

先に述べた通り、医療業界は慢性的に人手不足に陥っている状況です。医療知識(資格保有者)や実務経験者が多く求められるので、実績があるスタッフほど、転職先は容易に見つかります。

そのため、スタッフ不足により働きにくい職場だと判断されると、簡単に離職されてしまいます。

まとめ

以上のように、クリニックをスムーズに運営するためには、充分な人数のスタッフを確保する必要があります。しかし実際の業務の内容と量に見合わない人数を採用してしまうと、業務量が分散されることで逆に仕事への熱意や意識が薄くなってしまうでしょう。適切なスタッフの人数にはバランスが重要なのです。

スタッフ一人ひとりの仕事への満足度をあげることで、それぞれが適応できる範囲が広がり、柔軟な対応にも繋がります。離職を防ぐためにも、業務に見合った対価をスタッフに提供し、定期的なヒアリングやフォローを通じて、働く側の意見や不満などに向き合っていく姿勢が必要になります。

 

 

 

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