スタッフの引き抜きはマナー違反!引き抜きにより想定されるトラブルと予防策

2023.12.31クリニック開業の心得

スタッフの引き抜きはマナー違反!引き抜きにより想定されるトラブルと予防策

スタッフの採用や教育に頭を悩ませる開業医は少なくありません。特に開業を支えるオープニングスタッフについては、一般的に離職率が高いと言われており、開業直後の一番の悩みどころにもなりえます。「勤務医時代に支えてくれた優秀なスタッフをそのまま引き抜きたい」と考える医師も多いでしょう。気心の知れたスタッフとともに自身のクリニックを開業できれば、医師も心強いはずです。

しかしながら、スタッフの引き抜きは常にトラブルの種であり、場合によっては前の職場から損害賠償請求を起こされることも考えられます。

今回はスタッフの引き抜きによって想定されるトラブルと、引き抜きをする場合の注意点を考えていきましょう。

 

スタッフの引き抜きは基本的にはマナー違反

長く勤務医をされていた方なら、相性のあまり良くないスタッフと仕事をした経験をお持ちの方も多くいらっしゃるでしょう。人の命を預かる医療現場であればなおさら、開業時には息の合うスタッフを採用したいと考えるはずです。そのため、勤務先の医療機関からスタッフを引き抜こうとする医師は少なくありません。

しかしそのスタッフは、今いるその職場にとっても貴重な人材です。ご自身の退職に加え、スタッフまで抜けるとなると、少なからず病院全体に迷惑をかけてしまうと思って間違いはありません。

場合によっては、スタッフの引き抜きについて損害賠償請求が認められることもあります。判例によると「引き抜き行為が単なる勧誘の範囲を超え、著しく背信的な方法で行われ、社会的相当性を逸脱した場合」には引き抜き行為が違法になるとして損害賠償請求を認めています。

また、病院側も引き抜きスタッフ(当該職員)に対し、事前に競業避止義務契約を結び、簡単に引き抜かれないように予防しているケースもあります。

 

引き抜きをする際の事前準備

開業時にどうしても今いるスタッフを引き抜きたいのであれば、トラブルを起こさないためにも、事前に理事長や院長に念入りな打診や相談などの機会を設け、スタッフ側にも病院との契約内容の確認をしてもらう必要があります。クリニックの開業後に前の職場と医療連携を取る予定なら、なおさら、お互いが納得できるよう何度も話し合う必要があるでしょう。

 

採用後に考えられるトラブル

職場環境のトラブル

引き抜いたスタッフに与える業務や役職について、慎重に考えておく必要があります。頼れるスタッフだからといって全てを任せてしまうと、特権意識を持ってしまい、後から入ったスタッフに対して医師と異なる方針で組織を動かそうとしてしまいがちです。

しかし、院長が業務の全てを管理することは難しいものです。引き抜いたスタッフに与える権限の範囲と、責任の所在を明らかにし、院長の管理下に置くよう心がけましょう。

院長がスタッフそれぞれの仕事の内容をしっかりと把握しておくことで、良い職場環境が保てるでしょう。

労働条件のトラブル

引き抜くスタッフと気の知れた仲だとしても、給料面などの労働条件を口約束だけで行うことは避けましょう。現在の職場よりも良い条件だと思っていても、慣れない環境下で行う業務には負担があり、スタッフのストレスに繋がってしまいます。退職前にしっかりと契約を交わすことで、お互いにとって良いスタートが切れるでしょう。

 

まとめ

勤務先からスタッフを引き抜く場合は、まず基本的にそれがマナー違反だという認識を持ち、慎重に物事を進めましょう。事前にスタッフ当人への意思確認を行うだけでなく、勤務先の理事長や院長に余裕をもって相談をするなど、早期から準備を始め、交渉が長期にわたる可能性があることを念頭に入れて準備をする必要があります。

また、引き抜くスタッフとの契約条件や、開業後の業務内容を擦り合わせておくことも重要でしょう。

 

 

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