2022.05.26クリニック開業の心得
クリニックの待合室でBGMを耳にすることは少なくありません。快適な音楽や効果音には、クリニックで待つ患者の緊張や不安を和らげたり、耳障りな音を聞こえにくくしたりする効果があります。
今回は、クリニックで流すBGMの効果や注意点について考えていきましょう。
診察室での会話は、患者のプライバシーを守るためにも、他の人に聞かれないようにしなくてはいけません。しかし、特に診察室と待合室が近かったり、防音設備が整っていなかったりする場合、診察室での会話が外に漏れてしまうことがあります。
そこで、効果を期待できるのがBGMです。BGMには雑音や騒音を和らげる性質があり、これをマスキング効果と呼びます。BGMを流すことで、診察室の中の会話だけでなく、治療の際に出る不快な音もかき消してくれます。また、トイレの音も抑えることができます。
音楽には聴く人をリラックスさせる効果があるため、診察前の緊張感や不安感を緩和させてくれます。BGMにリラックス効果のあるヒーリング音楽やクラシックを利用すれば、患者のストレスを抑えたり、気持ちを明るくさせたりしてくれます。音楽以外にも、海や川などの自然の音を利用したBGMにも、癒しの力があります。患者だけでなく、スタッフのストレスを和らげる効果も期待できるでしょう。
どの診療科でも利用できるのは、クラシックやヒーリング音楽です。下記のように診療科に合わせた音楽を選択するのもいいでしょう。
子ども向けの音楽をBGMにするといいでしょう。人気があるのはオルゴール曲です。オルゴール療法と呼ばれるセラピーもあり、緊張で興奮した子どもの気持ちを落ち着かせる効果が期待できます。
子どもが好きなアニメ曲などをクラシック風にアレンジしたBGMも人気です。知っている曲がかかれば、子どもは音楽に集中することができ、待ち時間を退屈せずに過ごせるでしょう。
妊婦の多いクリニックでは胎教にいいといわれている音楽をかけると喜ばれます。一般的にモーツァルトの楽曲は胎教にいいと言われています。鳥の声などの効果音もいいでしょう。いずれにしても母体がリラックスすることが重要です。
診察室での会話や騒音を軽減するには、ある程度の音量が必要です。ただし、音が大きすぎると呼び出しの声が聞こえなかったり、騒音に感じたりすることもあります。
クリニックの規模や患者数、待合室の造りによっても快適な音量は異なりますので、実際にクリニック内のあらゆる場所で音を確認しながら、耳障りにならないよう音量を調整していきましょう。
病気療養中の方のなかには音に敏感な方もいらっしゃいます。患者に不快感を与えることのないよう、スピーカーは音質にこだわって選ぶことをおすすめします。また、スピーカーを置く場所にも注意をしましょう。患者に近過ぎるとうるさく感じますし、逆に遠くに置いてしまうと効果が半減してしまいます。
クリニックで音楽などをBGMとして使用することは、音源の商用利用として扱われ、著作権者の許可を得る必要があります。購入した音源をクリニック内に流すことも、厳密に言えば著作権法に違反します。
そのため、BGMには専用の配信サービスを利用することをおすすめします。BGMサービスを利用すれば著作権の問題も解決し、一曲ずつ選曲する必要もありません。クリニック向けの定額サービスもありますので、上手に利用していきましょう。
クリニックで流すBGMには、患者の不安や緊張を和らげる効果や、プライバシーを守る効果があります。居心地の良い空間を作り出すために、自院に最適なBGMを選びましょう。