2021.12.08クリニック開業の心得
クリニックを開業するための賃貸物件選び。どのような点に注意して選べばいいのでしょうか?
クリニックは医療機器などの特殊な機材を使用する場であり、一般的な事務所や住居とは、入居前のチェック項目が異なります。開業したあとに「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためにも、何が必要なのかひとつずつチェックしていきましょう。
希望の立地に賃貸物件がみつかったら、次のような項目をチェックしていきましょう。
最初に、物件に十分な面積があるかどうかを見極めましょう。診療科目にもよりますが、一般的な内科クリニックで40坪前後の空間が必要であると言われています。設計の担当者が決まっているようであれば、あらかじめクリニック側の希望を伝え、大まかな必要面積を算出しておくといいでしょう。
賃貸物件が古い建物であれば、まず耐震構造やアスベストの使用について確認することが必要です。
建築基準法では旧耐震基準と新耐震基準が定められてます。1981年以降に建てられた物件は新耐震基準が適用されているため、震度6強~7程度の大規模地震にも対応しています。1981年以前に建てられた物件については新耐震基準を満たしていない可能性がありますので、事前に確認しましょう。またアスベストを使用していないかどうかも確認が必要です。
クリニックとして賃貸物件を利用するためには、医療機器の搬入する経路が確保できているかを確認することが必要です。物件を契約したはいいが、出入り口が狭くて医療機器が入らなかった・・・そのような事態は避けなければいけません。必要な医療機器が搬入できなければ、患者さんの治療や検査に支障があるだけでなく、開業計画に根本的な変更が強いられたり、大きな出費を伴ったりする可能性もあります。
搬入時だけでなく、メンテナンス作業に必要なスペースを確保できるかどうかも、確認しておきましょう。
物件選びの際、誰もがその空間の広さには注目しますが、高さはどうでしょうか?快適な診療室や待合スペースを確保するためには、天井の高さが最低でも2.4m以上は必要です。もちろんこれよりも高さのある医療機器もありますので、医療機器の高さと天井高はしっかりと確認しておきましょう。
医療機器を使用するための電気設備を確認しておくことも非常に重要です。診療科目にもよりますが、一般的にクリニックは多くの電気を使用します。医療機器によっては一度に大量の電力を消費するものもあります。医療機関の入居を想定していない物件の場合は特に、電気容量不足が生じるケースが少なくありません。どれくらい電気容量が確保できているのか、足りなければ増やせるのかなど、事前に確認しておきましょう。
給排水の設備も重要なチェックポイントです。医療機関においてはバリアフリーが必要不可欠ですので、フロアに段差をつけることなく必要な給排水管を床下に通すことができるのか、給水と排水の設備がそれぞれどの位置にあるのかを、しっかりとチェックしましょう。意外と盲点なのが、空調機器の排水設備。可能であれば、設計担当者に立ち合いを求め、一緒に確認してもらうといいでしょう。
トイレの確認も慎重に行うべきポイントです。水が流れにくかったり、変な音がしたり、匂いがあったりなど、少しでも不調を感じたら、事前に調べて対処しておくことが必要でしょう。トイレの数が充分かどうかも確認します。
火災や地震などの災害に備えて、消防設備を確認しておくことも必要です。スプリンクラー・消火器・火災通報装置などが適切に設置されているかを確認しましょう。設置されていなければ設置工事が必要です。事前に調べておくことによって、計画的に工事をすすめることができるでしょう。
賃貸契約を結ぶ前に、まずは自身がその物件で診療している様子を具体的に想像してみます。スタッフにとっても患者にとっても快適なクリニックになるよう、必要な条件を細かくリストアップして、物件を内覧しましょう。
理想のクリニックを実現するには、物件を選定する前に設計担当者に相談し、同行してもらうのもいいでしょう。