2020.02.26クリニック開業の心得
クリニックの経営合理化を図るうえで、業務のアウトソーシングサービスや、必要な時に必要な人材を雇用する人材紹介サービスの活用は、欠かせないものとなっています。これらのサービスを上手に活用すれば、人的コストを圧縮することができるでしょう。
ここでは、クリニックを経営するうえで押さえておきたいアウトソーシングサービスをご紹介します。
クリニックの円滑な運営に、医療事務のエキスパートは必要不可欠です。
外来患者に対しては、初心患者や再来患者の受付、カルテの出庫・診療報酬と患者が支払う診療費の計算、患者からの代金の受理などを行います。
一方、入院患者に対しては、診療報酬の計算、病院クラークと呼ばれる医師や看護師の書類作成などの補助、入院患者からの医療費の徴収、面会案内などの業務があります。
このような仕事をアウトソーシングにより代行するのが、医療事務代行会社です。
医療事務代行会社のサービスを利用すれば、新しい診療報酬支払い方式のDPC/PDPSへの対応や診療情報管理士の派遣、診療情報の活用についてコンサルテーションができるような体制を整えることができます。
2006年の診療報酬改定に伴い、新たな看護基準が導入されました。これ以降、全国的に看護師が不足傾向となっています。病棟の看護師配置基準が改定され、急性期医療を行う医療機関では看護師を大幅に増員する必要に迫られたのです。
このような背景もあり、看護師の人材紹介会社は増えています。必要な時に必要なだけ看護師を補充できるサービスは、クリニックにとって大変利用価値の高いものです。
安定的な看護師の確保のために、人材紹介サービスの利用も検討してみましょう。
診療に関するサービス以外の分野では、アウトソーシング化がより進んでいます。既に100%の委託率になっているのが、院内の清掃業務です。近頃の病院清掃委託会社では、清掃からベッドメイキングまで一連の業務を請け負っているところが多いようです。
医療機関の施設の清掃度は、日本医療福祉設備協会規定によりクラス分類されており、一番厳しいクラスⅠ(高度清掃区域)からクラスⅤ (汚染管理区域)まで、その作業内容の質は厳しく定められています。
特に洗浄度が高い区域の清掃には、清掃者の経験と能力が必要となります。病院清掃委託事業者を選定する際は、実績を参考にし、慎重に選びましょう。
民間救急車と呼ばれる、民間企業が行う救急サービスが定着し始めています。緊急時に出動するのが消防署の救急車で、緊急性がない患者を搬送するのが民間救急車、というイメージになります。
介護タクシーと民間救急車との違いは、民間救急車は消防署の救急車と似た機能をもち、酸素吸引器や輸液ポンプなどの医療機器を装備している点です。また、民間救急車には、指定の講習を修了し乗務員適任証を受けた乗務員が乗車しています。
患者さんの移動が必要な場面において、利用価値が高いアウトソーシングサービスとして、民間救急車を心に留めておきましょう。
クリニック経営も、アウトソーシング抜きには考えられなくなりました。専門的な業務を院外に委託することによって、人件費の削減にも繋がり、より合理的なクリニック経営が実現できるでしょう。
それぞれの業者が持つ特徴をしっかりと把握し、委託先を検討してください。