スタッフ教育入門 採用時教育の3つのポイント

2016.10.22採用・労務管理

スタッフ教育入門 採用時教育の3つのポイント

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クリニック開業の目途が立ったら、スタッフを採用します。新たに採用したスタッフは、開業当日からいきなり“使える”人材となるわけではありません。開業時からクリニックを上手く回すためには、事前に“採用時教育”を十分に行う必要があります。
「どのようなクリニックを作っていきたいか」を明確に
スタッフ採用時の面接でも、“経営理念”や“クリニックのコンセプト”は、話をしていると思います。しかし、“採用時教育”の第一歩は、これをしっかりとスタッフが理解し、全員で共有することから始まります。ポイントをあげてみましょう。

・クリニックが標榜する科は何か
・それに沿った経営理念が掲げられているか
・院長が考える“医療サービス”とは何か
・クリニックのコンセプトは何か
・コンセプトに沿った役割を持つスタッフが揃っているか
・各自が“自分に期待される役割”を理解しているか


これらのことを、分かりやすい言葉で、具体的に教育する必要があります。特に“経営理念”は、スタッフの目につくところに掲示しておくことが必要です。
また、場合によってはこれらをいつでも確認できるように、マニュアルなどに明記しておくことも良いでしょう。スタッフ教育は、開院時だけではなく、開業後も随時必要になると考えてください。

患者の視点に立った言動を身に付ける
クリニックには、医療事務、看護師、検査技師や訓練士など、さまざまな種類の職務を遂行するスタッフがいます。特に患者との接点が多く、より目につくところで働く医療事務や看護師は、クリニックの顔になることもあります。これらのスタッフに共通して求められるスキルが“接遇”です。以下に職種に限らず、すべてのスタッフに必要な接遇ポイントをあげてみます。

□電話は3回以内のコールで取る(外線・内線とも)
□相手の名前を確認する
□電話は、必ずメモを取りながら話をする
□伝言を受けたら、必ず要点をまとめて復唱する
□伝言を受けたら、自分の名前も相手に伝える
□患者からの問いかけには、作業の手を止めて対応する
□患者に呼ばれたら、必ず「はい」と明るく返事をする
□スタッフ同士で世間話や私語はしない
□患者に対し、医療者にしか分からない言葉で説明しない
□長時間待たせた患者には「お待たせして申し訳ありません」と声をかける
□待合室の患者の言動に気を配る


当たり前のことのようですが、実際の仕事になると、すべてを確実にこなせる人は少ないかもしれません。しかしクリニックが提供するのは“医療サービス”であって、スタッフの対応が悪ければ、そのクリニックの評判に直に響きます。特にクリニックの開院時は、スタッフの対応がその後の集患に直結しますので、“開業前のスタッフ教育”はとても重要です。
これらの“接遇スキル”は、一度教えれば良いものではありません。定期的に全スタッフの接遇スキルをチェックし、“おざなりな対応”にならないよう、注意しましょう。

“チーム”であることの意識付けを
クリニックには、さまざまな職種のスタッフがいます。それぞれが連携し、チームとして成長していくことが、そのままクリニックの成長につながります。
一番トップはもちろん院長である医師ですが、それぞれの職種の中には、必ずリーダーを決めておきましょう。リーダー的な存在がいないと、すべてのスタッフに情報を伝えることが難しくなりますが、職種ごとのリーダーを決めることで、情報の伝達が早くなります。
また、指示系統を統一することで、指示や命令の受け方、報告の仕方、情報確認の重要性が、自然と身についていきます。これらを身に付けることで、スタッフの間に一体感が生まれ、他職種との連携もしやすくなります。ここまで来ればしめたもの。クリニックのスタッフ全員に“チーム”という意識が生まれてきます。
ただし、注意しなくてはいけないのは、適切なリーダーを選定することです。以下に、リーダーとして適切ではない例をあげてみます。

・トップダウンでしか情報を伝えられない
・周りからの声に耳を貸さない
・“縁の下の力持ち”的な働きを評価できない
・周りの状況の変化を読み取ることが出来ない
・自分以外の者に対して“教える”“諭す”などができない
・感情の波が激しい


これらの要素を持つスタッフは、リーダーとして適切ではありません。他のスタッフから反感を買うばかりか、他職種との連携も難しいでしょう。
なお、リーダーはずっと固定しておく必要はありません。年齢や経験値などの差が大きい場合は固定でも良いですが、年代が近い、経験値が似ているなどの場合は、数人でローテーションすることも検討します。すると、リーダーの気持ちも自分が経験すれば分かりますし、より多くのスタッフの“問題解決能力”向上します。クリニックスタッフの退職理由の1つに“人間関係”がありますが、スタッフ全体の人間関係を友好に保つためには、なるべく多くのスタッフがより高い“問題解決スキル”を身に着けておく必要があります。

いかがでしょうか。スタッフの教育は、まさに“最初が肝心”です。開院時のスタッフが“きちんとした人材”になっていれば、開業にスタッフの増員(あるいは入れ替わり)があっても、それ以前からいるスタッフが、同じことを教育していけば良いのですから、開業前のスタッフ教育には、特に重点をおきましょう。

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