開業ガイド

2016.03.14採用・労務管理

開業当初から福利厚生を充実させ、質の良い職員を集める

病院勤務の医師にとって、福利厚生はあまり馴染みの無いものかもしれません。しかし、それは医師の世界の特殊性の1つ。一般的には「雇用される = それなりの福利厚生が保障され ている」というものなのです。

福利厚生とは何か

では、福利厚生とは具体的に何を指すのでしょうか。
分かりやすくいえば、自分の労働に対する対価として取得する基本給の他に、自分にとってメリットとなる事柄をまとめて福利厚生といいます。
例えば、病院の看護師であれば、夜勤に対する夜勤手当が付きます。ある程度の人数がいる職場では社会保険に加入できますし、厚生年金・労災保険・雇用保険にも加入できるはずです。こういったものは「経営者として導入すべき(法的に必要とされる)福利厚生」となります。
一方で、住宅手当などの補助、有給休暇制度、年に1回の健康診断受診、セミナーや勉強会への参加費用の補助、新年会・歓送迎会会費の補助なども、福利厚生に含まれます。これらのものは「経営者の好意」として設定されるものですが、これらがあるか否かにより、スタッフ募集に対する応募者人数の増加や、スタッフのモチベーションの維持につながることが多いのです。

経営者として導入すべきもの

まずは保険関係から見てみましょう。
●健康保険:法律上は「常時5人以上の従業員を雇用する場合は加入する」義務があるとされています。経営者は健康保険組合などに加入し、1人あたりに必要な保険料の一部を負担することになります。「5人」というのが正職員なのかパート職員なのかという問題もありますが、基本的には正職員。ただし、パート勤務でも「労働時間及び労働日数が就業規則に定める一般社員の概ね4分の3以上ある70歳未満の人」であるならば、これも健康保険の適応となります。
●厚生年金:健康保険とほぼ同じです。「常時5人以上の従業員を雇用する場合は加入する」義務がありますし、年金の一部を負担する義務があります。パート職員についての対応も同様です。
尚、この2つの制度を合わせて「社会保険」といいます。
●雇用保険:原則、正職員が一人でもいれば、加入が義務付けされています。法律上は週の労働時間が20時間以上の場合かつ31日以上雇用の継続を見込む職員(31日未満の雇用契約でも反復継続する場合を含みます)
パート職員か否かに関わらず、この条件を満たす職員を雇用する場合は、加入が義務付けられています。
●労災保険:経営者の家族以外の職員が一人でもいたら、加入が義務付けられています。パート職員だけでも、または1日に数時間の勤務だけでも、強制加入です。未加入の状態で労災事故が起きた場合は、厳しいペナルティーが発生する場合があります。
尚、この2つの制度を合わせて「労働保険」といいます。

経営者の好意ともいえるもの

こちらは様々なことが考えられますので、ほんの一例を挙げてみます。
●交通費支給:職員が通勤するために必要なものですので、全額負担となることが多いようです。
●住宅手当:そのクリニックに勤務するために1人暮らしが必要な場合に限り「上限額を決めて補助する」というケースもあります。比較的規模が大きくなり、住宅手当を補助する職員が増えるようであれば、「職員寮」として必要な数の賃貸住宅を借り上げることもあります。
●有給休暇制度:正職員であれば、一定数の有給休暇は必要です。パート職員に対しては必須ではありませんが(出勤した時間に対しての報酬を支払うことになるので)、年間に数日の有給休暇を設定しておくのも良いでしょう。
●健康診断の受診:こちらも義務ではありませんが、社会保険に加入しているのであれば、年に1回の健康診断費用を、健康保険組合が一部負担してくれます。

大事なのは職員のモチベーション

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福利厚生は、見方を変えると「経営者が職員にどれだけ手厚い待遇を享受できるか」というバロメーターとなり、これが高くなるほど、職員のモチベーションも向上します。
例えば雇用条件が同じクリニックがある場合、社会保険や労働保険への加入、その他の福利厚生が充実している方が、職員は集まりやすくなるのです。
特にこれから開業を目指して職員の募集を行う場合は、初めからある程度、福利厚生を充実させておいた方が良いでしょう。「質の良い職員」を集めやすくなります。

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