クリニックを開業 開業資金はどれくらい必要?-整形外科編-

2016.12.13資金計画

クリニックを開業 開業資金はどれくらい必要?-整形外科編-

クリニックを開業するとき、標榜する科によって、予め準備しておく資金は違います。今回は整形外科について考えてみましょう。

整形外科クリニック 診療内容のポイントは大きく2つ

まず、診療内容として、どこに重点を置くのかを考えます。
A:医師による診療や処置がメイン
B:リハビリテーションも充実させる
Aの場合、クリニック全体のスペースとしては、それほど大きなものではありません。待合室、診察室、処置室、X線撮影室などが、余裕をもって配置されていれば良いでしょう。Bの場合、理学療法室(リハ室)として、かなり多くのスペースを必要とします。また、リハビリテーションに必要な、低周波治療器・干渉波治療器・牽引機・温熱治療器などが必要です。またこれらを操作し、患者さんへのリハビリテーションを行う理学療法士も、それなりの人員をそろえておく必要があります。5c3a9e8966fab29bd3bcc11c674b95ea_s

最初からすべてを準備する必要はない?

整形外科の場合、診察による診療報酬は、他科と比較してそれほど高いものではありません。しかし、小さな手術などの処置を多く行う場合は、その分の診療報酬が期待できます。リハビリテーションを充実させるなら、診療報酬としては高くはありませんが、継続的に通院する患者さんが期待できますし、特に高齢者の患者さんは今後も増えていきますので、それなりの診療報酬を得ることが出来そうです。
しかし、これらをすべて最初から揃えておく必要があるでしょうか。
開業資金の面でみると、小さな手術などをメインとする場合は、それなりの設備や医療器具を揃える必要があり、手術器具の滅菌管理などを行える看護師も必要です。一方、リハビリテーションをメインとする場合は、治療器などの医療機器を揃えますし、十分な数の理学療法士も必要になります。
さらに、比較的広いクリニックのスペースを必要とします。いずれリハビリテーションを充実させるのであれば、その分のスペースも確保しておく必要があります。また、X線撮影用の機器だけではなく、その部屋のシールド工事も必要ですので、開業資金はどうしても他科よりも多くなってしまいます。
こういった背景がありますので、開業資金の計画を立てるときは、以下のポイントをしっかり検討しましょう。
・リハビリテーションに必要な治療器などの医療機器は、最初から「購入」するのではなく、
理学療法士や患者さんのニーズに合わせて、少しずつ追加していく
・常に最新の医療機器がある方が、患者さんに合わせたリハビリテーションを
行うことができ、「症状を早く治す」治療法の方が診療報酬も高くなる
・必要となるコメディカルは、診療内容に合わせて厳選する

開業後の資金繰りも、予めシミュレーションしておく

整形外科は前述の通り、他科と比較して必ずしも診療報酬が高いわけではありません。厚生労働省が行っている「第20回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告」によると、1か月あたりのおおよその収支は以下のようになっています。
01ただし、これらのデータはあくまでも平均であり、開業直後の状況ではありません。開業後、軌道に乗ればこれくらいの収支が期待できる、というデータであることを考慮してください。

整形外科は、設備(医療機器)をどこまでそろえるかによって、初期投資の金額は大きく変わってきます。

戸建てで開業する場合

土地家屋代金 + 什器・備品 + X線撮影装置 = 6,000~8,000万円
さらに、開業から1年くらいの運転資金を1,000万円と考えると、7,000~9,000万円
さらに、MRIなどの高額医療機器を導入する場合は、9,000万円~1.2億円

ビル内の医療モールなどで開業する場合

内装費用 + 什器・備品 + X線撮影装置 = 3,000~ 5,000万円
さらに、開業から1年くらいの運転資金を1,000万円と考えると、4,000~6,000万円さらに、理学療法などに関する設備を備える場合は、6,000~8,000万円

開業間もなくの頃は、収入は少ないにも関わらず、支出はある程度固定されます。特に人件費は、最初に何人のスタッフを雇用すべきか、綿密な計画を立てましょう。
開業資金としては、「設備費」として、2,000~2,500万円が必要といわれています。この他に、土地・建物以外に関する費用として、3,000万円程度が必要ですが、この部分は開業の形態によって変動します。

・ビルのテナントとして開業する場合は、初期投資を抑えることができる
  >ただし、開業後の固定費は(賃料などが発生するので)高くなる
・独立した建物の場合は、初期投資は大きいが、開業後の固定費は抑えることができる
  >ただし、他科よりも広い建物が必要で、車通院を考慮した駐車場も完備する

いかがでしょうか。
クリニックの開業資金として、整形外科は比較的高額になります。開業形態によっては、初期投資を抑えることはできますが、その分固定費が高くなる可能性があります。しかし、こういったことを考慮しても、開業当初に揃える医療機器は最初から多く購入するのではなく、リースなども利用することも検討してください。

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