「開業資金」をどう用意しますか?〜融資の3ポイント〜

2016.10.18資金計画

「開業資金」をどう用意しますか?〜融資の3ポイント〜

いざ開業しようと考えた時、自己資金はどれくらいありますか?自分の預貯金、家族からの借り入れもありますが、必要な開業資金を集めるためには、融資も念頭においておきましょう。

資料

お金を「借りる」ということ

勤務医という生活の中では、誰かに「お金を借りる」ことは無いかもしれません。しかし、標榜する科やクリニックの規模、導入する医療機器などによっては、クリニックの開業資金がかなり高額になることもあります。自己資金でそこまでの金額を準備できるのは、非常に稀なケースであり、ほとんどの場合は、開業資金は「借りる」ことになります

例えば、戸建てで開業した場合は、内科や小児科など診察がメインの標榜科、入院病床なし・手術等の治療設備なしの場合でも、おおよそ1億3千万円以上の資金が必要です。また、整形外科など、X線の撮影機器や特殊な検査機器、簡単な手術などを行う設備を必要とする場合は、2億円近くの資金が必要になるケースも珍しくありません。もちろん、土地の価格によっても変わりますが、いずれにしても「億単位のお金が動く」と考えておきましょう。

しかし、例えば「メディカルモール」のようなところ、あるいは単独でもビルの1室などで開業する場合は、およそ半額程度の資金で済むこともあります。開業当初から用意する医療機器によっては、3千万~5千万くらいの資金で賄えてしまうこともあります。

大切なことは、『借り入れた資金をどうやって返すのか』、ということです。

クリニックの収入源は、基本的に診療報酬になります。開業後、軌道にのる基準として、毎日の患者数や、月額の収入としてどれ位の金額が見込めるのか、人件費などの支出はどれくらいになるのかを綿密に計算し、無理のない返済計画を立てることが先決です。借りるより先に、「現実的に毎月払える返済額はどれくらいなのか」を、しっかりと見極めておく必要があります

【参考事業】
>資金計画サポート

融資先を比較検討する

融資はさまざまな形態で受けることが出来ます。ほんの一例を挙げてみましょう。
融資先比較

【親族から借りる】
もっとも身近で借りやすい融資先ではあります。しかし、例え親族の場合でも、ある程度形式が整った「契約書」は必要です。クリニックの経営状態によっては、親族中を巻き込んだ、とても大きな返済トラブルになる可能性があります。

【公的資金を借りる】
手続きなどに時間や手間がかかる上、借入できる金額は比較的低めですが、比較的長期かつ低金利で借り入れできるため、クリニックの開業資金の第一選択と考えて良いでしょう。

【民間の金融機関から借りる】
借入できる金額に上限がなく、返済期限も金融機関ごとの取り決めで決まります。借りやすさとしては良いのですが、毎月の返済金額が大きくなる可能性が一番高い方法です。場合によっては「自己資金の何%まで」という規定がある場合もあります。

返済期間を比較検討する

前述の「公的資金」でもありますが、借入の用途により、借入できる期間が異なっているものがあります。「運転資金」と「設備資金」です。これらはおおよそ以下のように分けて考えます。

運転資金:従業員への給与、医療材料などの買入、クリニックの家賃や光熱費など

設備資金:医療機器の購入、検査・治療設備の調達、クリニックの改装費用など

いずれもクリニック開業にあたって必要な費用ですが、それぞれの用途によって返済期限が違うケースが多いので、十分検討してください。

また、長期借入と短期借入では、一般的に長期借入の方が金利が高くなります。1カ月あたりの返済額は長期借入の方が安くなりますが、最終的な返済額としては、長期間借入している方が、高くなってしまいます。借入額に対する毎月の返済額はどうなるか、金利の変動はあるのか、様々なケースでのシュミレーションをしてから、借入先と返済方法を決定すると良いでしょう。

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