2025.09.08トレンド・ニュース
クリニックを開業すると、診療の自由度や収入の安定性は高まりますが、老後資金の準備や資産形成は勤務医時代よりも一層重要になります。勤務医と違い、開業医は退職金や企業年金がないケースも多く、計画的な対策が不可欠です。
ここでは、開業予定の医師が知っておきたい老後資金・資産形成の基本について解説します。
まず、老後に必要な資金の目安を知ることが大切です。
一般的に老後の生活費は月25万〜35万円程度といわれますが、開業医の場合はライフスタイルや家族構成によって必要額が変動します。
さらに、開業医は老後も一定期間診療を続けるケースが多く、何歳でリタイアするのか、完全リタイアするのか、段階的にリタイアするのかで必要資金が大きく異なります。
また、退職金制度がないことから、開業医は自身で老後資金を準備する必要があります。生活費に加えて、医療費や介護費、住まいのリフォーム費用など、将来の出費を想定した資金計画を立てておくと安心です。
開業医は個人事業主としての立場になるため、勤務医時代とは異なる制度を活用する必要があります。代表的なものは以下のとおりです。
開業医は厚生年金ではなく国民年金に加入するのが基本です。将来受け取れる年金額は勤務医時代より少なくなることが多いため、国民年金基金などの上乗せ制度を活用することで、不足分を補うことができます。
個人事業主向けの退職金制度で、掛金は全額所得控除の対象となります。節税しながら老後資金を準備できるため、開業医には非常に有効な制度です。
掛金が全額所得控除の対象となり、運用益も非課税です。長期的な資産形成を考えるなら、開業初期からの活用を検討するとよいでしょう。
これらの制度をうまく組み合わせることで、安定的かつ効率的に老後資金を積み立てることができます。
老後資金の準備に加え、開業医には資産形成の視点も重要です。ポイントはリスク分散と、長期的な視点です。
預金だけに偏らず、投資信託や債券、株式などを組み合わせて、リスクを分散します。
クリニックの資産と個人の資産を明確に分離することで、経営リスクから老後資金を守れます。
医療保険やがん保険などはもちろん、万一のときに備えた収入補償保険や事業保障保険も検討しましょう。
また、資産形成は一度計画を立てたら終わりではありません。定期的に見直し、ライフステージに合わせた調整を行うことが大切です。
開業医にとって老後資金の準備は、早めの計画何より重要です。勤務医時代の感覚のままでは、退職金や年金制度の違いによる老後資金ギャップに直面する可能性があります。
まずは必要な資金を明確にし、国民年金基金・小規模企業共済・iDeCoなどの制度を上手に組み合わせながら、計画的に備えていきましょう。
さらに、老後資金の準備と並行して、リスク分散を意識した資産形成を行うことで、将来の不安を軽減できます。
診療と家庭、そして老後の安心を見据えた資産設計を、開業準備の段階から始めてみてはいかがでしょうか。