医療広告ガイドラインを理解して安全に発信する

2025.12.03成功するクリニック経営

医療広告ガイドラインを理解して安全に発信する

SNSやホームページで情報を発信するクリニックが増える一方で、「知らないうちにガイドライン違反になっていた」というケースも少なくありません。医療広告は一般企業のそれとは異なり、患者の命や健康に直接的に関わります。

ここでは、医療広告ガイドラインを正しく理解し、安全に発信を続けるためのポイントを整理します。

医療広告ガイドラインとは何か

医療広告ガイドラインは、厚生労働省が定めた医療法第6条の5に基づく指針であり、医療機関が広告できる内容や表現方法を規定しています。目的は、誤解を招く情報や過度な宣伝を防ぎ、患者が正しい判断をできるようにすることです。

2018年の改正では、従来の紙媒体だけでなく、ホームページやSNSなどのインターネット上の情報も対象となりました。つまり、「自院の公式サイト」「Instagram投稿」「YouTube動画」なども、すべて医療広告としてのルールが適用されるのです。知らずに更新している情報が違反となることもあるため、まずは医療広告の発信は全てガイドラインの対象になるという認識を持つことが大切です。

違反になりやすい表現とその回避策

ガイドラインで特に注意すべきは、誇大広告・比較広告・体験談の使用の3点です。
たとえば、「絶対に治ります」「最新の治療法で必ず効果が出ます」などの表現は、科学的根拠を示せない限り禁止されています。また、「他院より痛くない」「地域No.1」などの比較的表現も、客観的データがなければ違反です。

さらに、患者の体験談や口コミを広告として掲載することも制限されています。体験談は主観的要素が強く、誤解を招くおそれがあるためです。

安全な発信を行うためには、事実・実績・認可情報のみを客観的に記載し、感情的な強調表現を避けることたとえば「当院では厚労省認可の〇〇治療を行っています」「〇〇学会専門医が在籍しています」といった根拠に基づく説明が理想です。

ホームページ・SNS運用の実務ポイント

日常的に更新するウェブサイトやSNSでは、更新のたびにリスクが生じることを意識する必要があります。特にSNSでは、カジュアルな発信のつもりが医療広告扱いになるケースもあります。
たとえば、治療前後の写真を「症例紹介」として投稿する場合、症例ごとの条件や副作用・リスクを明記しなければ違反となります。「患者の声」や「喜びの声」についても、広告効果があると判断されればNGです。

実務上は、

● 投稿前に「広告該当性チェックリスト」を設ける
● 定期的にガイドライン改訂を確認する
● 広告代理店任せにせず、自院で最終確認を行う

といった体制づくりが重要です。特に、SNS担当者が医療広告の基本を理解しているかどうかが、コンプライアンスリスクを左右します。

まとめ

医療広告ガイドラインは、医療機関の表現を制限するためのものではなく、患者との信頼を守るためのルールです。事実に基づき、誠実な情報を発信することで、結果的にクリニックのブランド価値は高まります。
ただ伝えるのでなく、信頼される発信を意識すること。これこそが、医療広告ガイドラインを味方につけ、長く選ばれるクリニックになるための第一歩です。

 

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