不動産契約には、十分すぎるほどの慎重さが必要

2015.06.16不動産・物件

不動産契約には、十分すぎるほどの慎重さが必要

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 開業の目途が立ったところで、いよいよ「不動産契約」を行います。不動産の契約にはいくつかの種類があります。いずれにしても、この先数十年の経営と関係してくるものですから、慎重になるべきポイントがあります。

それ以外のすべての準備が整ってから、契約を具体化する

まず、「不動産契約を行うタイミング」です。
開業に適している物件を何度も見学し、かなり気に入っている物件があるとします。
 しかし、今後、数十年に渡る契約の第一歩となるわけですから、医師本人が本当に納得した状況で契約を締結するのが、一番理想的です。
まず、クリニック開業に関する、これまでの手順で、問題点が無いかを考えてみましょう。
1.開業コンセプトが確立している
2.開業に必要な手続きについて理解し、ある程度進んでいる
3.診療圏調査データや、事業計画から、エリアなどを選択した
4.初期投資費用として、金融機関からの融資が確定している
5.建物(あるいはクリニックの占有スペース)の設計について納得している
6.外装・内装などの見積もりにも納得している
7.現在勤務医である場合、退職できそうな時期である
これらの条件が全て整っていれば、不動産契約の時期としては適していると思われます。しかし、1つでも納得していないところがある、あるいは検討の余地がかなりあるような場合は、不動産への多額な投資を行う時期とは言えません。
例えば、土地の購入契約の場合、土地を手に入れることが出来ても、外装・内装の工事に進めない場合や、自分がクリニック開業に専念できない場合は、土地を持っているだけ、ということになります。ここで数年が経過してしまうと、その土地が本当に開業に適した土地では無くなる可能性も出てきます。
あるいは、金融機関からの融資が確定していないのに、土地の賃貸契約を締結し、外装・内装工事に着手してしまうと、その費用をどこから捻出するか、という問題が出てきてしまうのです。

不動産契約形態別、気を付けたいポイント

クリニック開業に関する不動産締結には、いくつかの種類があります。それぞれで気を付けたいポイントを考えてみましょう。
土地や建物の売買契約
多くの場合、土地の売買には仲介業者がいますが、土地の所有者、仲介業者、購入希望者と3者が納得して「境界立会書」を作成する必要があります。どこまでが自分の土地になるのか、明確に書面で示しておかないと、後のトラブルの原因となってしまいます。
また、土地なら土壌汚染や埋蔵物の調査、建物なら耐震性やアスベスト使用の有無などを、きちんと調査する必要があります。これらが確実に行われたことを確認してから、決済を行うようにスケジュールを調整しましょう。
土地の賃貸契約
この場合、土地の名義は他人、その上に建つ建物が自分の名義になります。公正証書を作成した上で契約をするのが一般的ですし、銀行からの融資には「抵当権の設定」が必要になります。契約終了後は更地にして土地を返却することになりますので、建物の建築計画を今一度見直し、契約終了後に必要となる資金も準備しておく必要があります。
土地および建物の賃貸契約
この場合、土地も建物の名義は他人になります。賃貸契約期間は長くなりますが、中途解約の条件も、契約書に盛り込んでおく必要があります。自分自身に何かあった場合、そのクリニックが存続できるかどうかに関係しますので、しっかり確認しましょう。
テナント契約
こちらもクリニックのスペースの名義は他人です。こちらも契約期間は長くなることが一般的ですので、中途解約の条件などをしっかり確認し、契約書に盛り込んでおく必要があります。また、自分のクリニックでの新規患者獲得に大きな影響を及ぼしますので、同じ建物に入居している他のクリニックの評判や、患者層なども考慮しておくことが必要です。
また、内装の設計段階で電気や水道などを確認しておく必要がありますし、場合によっては内装にある程度の条件が付くこともあります。

これらの準備が全て整ったら、正式に不動産契約を締結します。この先数十年のクリニックの経営に関わることですので、十分すぎるほどの慎重さを持った対応が必要となります。
さらに、不動産契約を締結する場合は、売買の場合は代金の数%、賃貸の場合は1ヶ月の賃料など、手数料が必要となります。これらも含めた資金計画を立てた上で、締結にのぞみましょう。

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