2026.02.24クリニック開業の心得
クリニック経営において、スタッフとの関係性は診療の質や患者満足度に直結します。「怖い院長」という印象は、知らず知らずのうちに組織の活力を奪いかねません。信頼されるリーダーであるために必要な視点を整理します。
院長には最終意思決定者としての責任があります。しかし、責任の重さがそのまま強い口調や一方的な指示につながると、スタッフは萎縮してしまいます。
大切なのは、判断は明確に示しつつも、感情的にならないことです。忙しい外来中でも、否定から入るのではなく「まず事実を確認する」姿勢を徹底するだけで、空気は大きく変わります。
スタッフは院長の言葉以上に、態度を見ています。腕組みやため息、沈黙の圧力もメッセージになります。威厳とは専門性と一貫性から生まれるものであり、威圧によってつくられるものではありません。
近年、組織論で重視されているのが心理的安全性という概念です。これはGoogleの研究でも注目された考え方で、チームの成果に大きく影響するとされています。
医療現場では特に、ミスを早く報告できる空気が極めて重要です。怖い院長のもとでは、報告が遅れ、問題が深刻化します。
ミスを報告しやすい関係性であるためには、
・ミスを個人攻撃しない
・改善策を一緒に考える姿勢を示す
・定期的な面談で意見を引き出す
といった取り組みが効果的です。
「何かあればすぐ相談して」と言うだけでなく、実際に相談しやすい態度を取り続けることが信頼の土台になります。
多くの場合、「怖い」と思われる原因は無意識の言動です。診療後の疲労、経営への不安、資金繰りのプレッシャーなどが、表情や声色に表れます。
院長自身がストレスマネジメントを意識することは、組織運営上の重要課題です。たとえば一日の終わりに振り返りを行い、「今日きつい言い方をしていなかったか」と内省するだけでも改善につながります。
また、幹部スタッフや事務長に率直なフィードバックを求めることも有効です。トップが自ら改善姿勢を示すことで、組織の空気は大きく変わります。
「怖くない院長」とは、単に優しい人ではありません。判断は明確に示しながらも、対話を大切にし、スタッフが安心して意見を言える環境をつくれるリーダーです。
クリニックは小規模組織だからこそ、院長の影響力は絶大です。コミュニケーションを意識的に磨くことは、人材定着、医療安全、そして経営安定にも直結します。
信頼される院長であることが、強いクリニックづくりの基盤となるのです。