開業後3年以内に差がつく、院長の経営意識とは

2025.08.05クリニック開業の心得

開業後3年以内に差がつく、院長の経営意識とは

開業はゴールではなくスタートです。華々しく開業しても、数年後には患者数が伸び悩んだり、スタッフが定着しなかったりと、運営面で壁にぶつかるクリニックは少なくありません。とくに開業から最初の3年間は、将来的な成長と経営の安定を左右する、極めて重要な期間です。

この時期に明暗を分けるのが、院長の経営意識です。院長には、医師としての医療スキルはもちろんのこと、経営者としての手腕が求められます。院長が経営に関する知識とセンスを持っているかどうかが、開業から3年後に大きな差となって現れるのです。

医療と経営は車の両輪

多くの医師は診療には自信があっても、経営に関しては専門外と感じるでしょう。しかし、開業医は医師であると同時に経営者でもあります。自ら収益を上げ、支出を管理し、人材を雇い、設備投資の意思決定も行わなければならないのです。

医療の質を保ちつつ、経営が安定してこそ、患者に継続的な医療を提供できます。つまり、医療と経営はクリニックを支える両輪と言えるでしょう。

数字を見ることを習慣にする

開業後に陥りがちなのが、日々の診療に追われて数字を見ない状態です。レセプト枚数や診療単価、再診率、人件費率、材料費率、一日の平均患者数など、経営の指標となる基本的な数値を毎月確認するだけで、経営状態の推移を把握することができます。

特に初年度は、予算と実績を比較し、予測との差を分析する習慣を身につけることが重要です。診療に忙しく手が回らない場合でも。会計事務所や税理士との定期的なミーティングを設けることで、数値と向き合う姿勢を保ちましょう。

スタッフはクリニックの財産

クリニックにとってスタッフの質は、患者対応や業務の正確さに直結する極めて重要な要素です。極端に言えば、いいスタッフがいれば、クリニックは自然に回ります。採用後の教育、評価制度、モチベーションの維持など、スタッフを育てることそのものに時間と関心を向けることが、3年以内に安定した組織づくりにつながります。

開業直後は、院長が全ての役割を担う場面も多くなりますが、3年以内に業務を任せられる人材が育つかどうかかが、その後の持続可能性に大きく関わってきます。

患者目線でクリニックを見る

経営意識の高い院長ほど、クリニックを患者の立場から見直す習慣を持っています。「自分が患者だったら」の意識を持って、受付の応対、導線のわかりやすさ、待ち時間、ホームページの使いやすさ、予約のしやすさなどを常に確認しましょう。そうして診療技術とは別の部分でも患者の満足を引き出すのです。

自身の思いや理想にとらわれず、実際の患者の声や動向をデータで把握し、客観的かつ冷静に改善していく姿勢が求められます。

経営を学び続ける姿勢

最後に大切なのは、学ぶ意識を持ち続けることです。セミナーや勉強会、他院の見学、経営本の読書など、情報収集の手段はさまざまです。医療と同じように、経営もアップデートが必要な分野です。

まとめ

開業直後は診療だけでも手一杯になりがちですが、数字を見る、人を育てる、患者目線で見る、学び続けるといった経営意識を持つことが将来のクリニック経営を左右します。

医師としての理想を実現するためにも、経営者としての自覚を持って、3年目までの時期を大切に育てていきましょう。

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