2025.02.14クリニック開業の心得
クリニックの休憩時間は一般的な会社のそれより長いことが多く、午前と午後の診療の間に、クリニックによっては3~4時間設けられているケースもあります。そのため、帰宅することができない遠方のスタッフは、長い休憩時間をスタッフルームで過ごすことになります。ここで充実した休憩時間を過ごすことができれば、働き手の満足度は上がります。快適性の高いスタッフルームは、自院の強みとなり、長期雇用にも繋がるでしょう。
それでは、どのようにしていけば満足度の上がるスタッフルームになるのか、ポイントを押さえてご紹介いたします。
私服からユニフォームに着替えるための更衣スペースが必要です。男女別にできると理想的ですが、難しい場合でもプライバシーの確保には細心の注意を払いましょう。また、個々の着替えや私物を保管するために、鍵付きのロッカーも用意しましょう。
お茶を淹れたり、昼食を温めたりするために、ミニキッチンの機能が必要です。キッチンには流し台と給湯ポットを最低限用意します。他にも、コーヒーサーバーや冷蔵庫、電子レンジ等があると、休憩時間がより充実したものになるでしょう。
お茶を飲んだり食事をしたりするためのテーブルと椅子が必要です。椅子が足りないとスタッフ同士で譲り合わなければならず、余計なストレスを与えてしまうことがありますので、充分な数を用意しましょう。
小上がりの和室やリクライニングチェアなど、足を伸ばしてリラックスできる場所があると、立ち仕事の多いスタッフにも喜ばれるでしょう。
患者の使用するトイレとは別に、スタッフ専用トイレを設けましょう。クリニックの規模やスタッフの人数にもよりますが、二個室以上あると便利です。基本は男女に分けて使いますが、女性スタッフ同士でタイミングが重なってしまった場合には、臨機応変に使用することもできます。
狭いスペースで他人同士が肩を寄せ合うことは、大きなストレスを生みます。すれ違う際に体が触れたり、充分な数の椅子を置くことができず譲らなければならなかったりすると、スタッフ同士の軋轢を生む原因にもなりかねません。他人同士が気持ちよく過ごすためには、ある程度の距離を保つ必要があります。
敷地の広さなどから、充分な面積を確保するのが難しい場合もあるでしょうが、職場の環境を保つためにも、スタッフルームを狭くする選択はできる限り避けたほうがいいでしょう。
スタッフルームの配置については、基本的に診察室の奥側が望ましいとされています。患者が誤ってスタッフルームに入ることを予防し、休憩所に出入りするスタッフを患者の目から隠すこともできます。スタッフルームにはスタッフの私物が集まっていますので、セキュリティ的にも、外部の人が往来する場所は避けたほうが安心でしょう。
また、私服で出勤・退勤するスタッフが患者と接触しないよう、動線にも考慮が必要です。
スタッフルームは、クリニックという職場と、スタッフのプライベートに一線を引く役割も担っています。スタッフ側の動線が患者の目に入らないように注意を払い、配置と動線を決定しましょう。
「どうせ患者は入って来ないから」と、暗くて風通しの悪い部屋をスタッフルームに使用しようとしていませんか?クリニックで長い時間を過ごすからこそ、スタッフには過ごしやすい環境を用意しましょう。日当たりが良ければスタッフの気持ちも明るくなりますし、感染症対策のためにも、換気ができる風通しのいい部屋が理想的です。
スタッフルームや専用トイレには「なるべくお金をかけたくない」が本音かもしれません。しかし、昨今の働き手不足の問題をクリアするためにも、安定して快適な職場環境を提供することは重要です。職場で快適に過ごせることが、仕事のモチベーションへと繋がり、スタッフの満足度も向上するでしょう。