今から備える!医療DX対応と開業時のIT導入ポイント

2025.07.15クリニック開業の心得

今から備える!医療DX対応と開業時のIT導入ポイント

近年、医療業界でも「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉が定着しつつあります。診療報酬改定でもデジタル対応へのインセンティブが設けられるなど、国も医療のデジタル化を強く後押ししています。

これからの時代、クリニックを開業する医師にとって、DXを前提としたクリニックづくりは避けて通れません。今回は、開業時に押さえておくべき医療DXの基礎知識と、導入ポイントについてわかりやすく解説します。

医療DXは単なるIT化とは違う

医療DXとは、単にITツールを導入することではなく、デジタル技術を活用して医療の質・効率・患者の快適性を改善していく取り組み全体を指します。

・ 紙カルテから電子カルテへの移行
・診療予約のオンライン化
・キャッシュレス決済の導入
・健診データのクラウド共有
・在宅医療における遠隔モニタリング

これらは患者の利便性とクリニック側の効率化を両立させる手段であり、今後の医療機関経営に欠かせない視点となっていくでしょう。

開業時に導入を検討すべきITシステム

クリニック開業時は、空間の設計や医療機器の導入にばかり目が向きがちですが、同時に、IT基板の導入を見据えた計画を立てることが重要です。

以下に主な導入ポイントを紹介します。

  1. 電子カルテ+クラウド連携

電子カルテは、今や標準装備ともいえる存在ですが、開業時にはクラウド型かオンプレミス型かを判断する必要があります。クラウド型は、外部委託によるセキュリティ管理・保守の手間が少なく、遠隔での確認や在宅医療との連携にも有利です。

  1. オンライン予約・問診システム

WEB予約やWEB問診を導入することで、患者にとっては、予約の手間軽減や待ち時間が短縮などの大きなメリットがあります。クリニックにとっても、来院前の情報収集が効率化され、受付業務の負担軽減にもつながります。また、再診予約のリマインドを行うことで、キャンセル防止にも効果があり、患者満足度の向上と集患力強化が期待できます。

  1. 自動受付・キャッシュレス決済

非接触型の受付や会計システムを導入することで、受付スタッフの負担が軽減されるだけでなく、感染症対策にもつながります。最近では、保険診療でもクレジットカードやQRコード決済に対応するクリニックが増加中です。

  1. デジタルサイネージ・院内モニター

待合室に設置するモニターで、診療案内や健康情報、順番表示などを発信できます。紙ベースの掲示物に比べて情報提供の質とスピードが格段に向上するうえ、多言語対応や更新のしやすさなどのメリットも多くあります。

DXの導入は「人」と「運用」もセットで考える

ITツールは導入しただけで終わりではありません。むしろ、日々の運用にどう組み込むかが、DX成功のカギとなります。スタッフへの教育や業務フローの見直し、患者への周知といったアナログ面での対応も、あわせて考える必要があります。

また、システムには必ず不具合が起きます。トラブルが起きた際の対応を見越して、導入先のサポート体制やレスポンスの速さも、システム選定時の大きな判断材料となります。

国や自治体の助成制度を活用する

現在、厚生労働省や各自治体による、電子カルテ導入や医療DX化を支援する補助金・助成制度が整備されつつあります。たとえば、医療情報の標準化に関連した診療報酬加算なども、その一環です。制度を活用することで初期コストの圧縮も可能ですので、必ず事前に情報収集しましょう。

まとめ

クリニック開業におけるDXへの対応は、もはやオプションではありません。最初の計画段階からITの導入を前提にどう設計するかを考えていきましょう。開業後の診療効率、スタッフの業務負担、そして患者の満足・・・医療DXへの対応は、そのすべてに直結します。

これから開業を目指す方には、将来を見越したデジタル基盤づくりを、早い段階から検討いただくことをおすすめします。

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